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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

退職金が危ない!一瞬で消失する人続出、ゆとりある老後に必要な月35万をどう確保?

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー

 その後、日経平均は半年ほど下落が続き、その後緩やかに回復を始める。しかし、個人投資家の中には、「このまま株価は戻らないのでは」と考え、これ以上の損を被らないために、早々に損切した人も少なくない。

 株価がようやく1万2,000円台を取り戻したのは、13年3月のこと。4年以上待って売却し、とりあえず投資元本は確保した投資家も、「あんな思いをするのは、もう懲り懲り。投資は二度としたくない」と口を揃える。

個人投資家が投資で収益を上げるには中長期でのぞむ

 基本的に、個人投資家が投資で収益を上げるためには、時間的・精神的余裕が必要だ。

 金融市場はさまざまな要因で大きく変動する。短期間で資産を殖やす方法もあるが、それは「投資」ではなく「投機」。投資ビギナーが勝ち続けるのはまず無理だろう。

 給与など、定期的な収入が得られる勤労者世帯と異なり、リタイアした高齢者世帯は、年金収入のみか、収入があっても多くはない。現役時代であれば、投資で損をした場合、穴埋めする収入があるが、リタイア後は、それが難しいのだ。

投資の前にリタイア後のお金を3つに分けてみる

 では、退職金を投資する場合、どうしたら良いのだろうか。

 まずは投資の前に、退職金を含めたリタイア後のお金を(1)「遺す」(2)「備える」(3)「使う」の3つの目的に分けてみよう。

 まず(1)は、子どもや孫などの家族などに遺したいお金である。資産全体からまずこれを引いておけば、後はいかようにでもできる。もちろん、一銭も遺す気がないのであれば、この分を考慮する必要はない。

 準備方法としては、有価証券や預貯金、死亡保険(終身保険など。被保険者を本人、受取人を子や孫などに設定)、家族信託など、さまざまなものが考えられるが、やはり安全性を重視した金融商品がベターだろう。

 続いて(2)は、病気やケガなど医療・介護や住宅リフォームなど、いざという時に備えるお金である。とくに病気やケガなど、いつ起こるかわからない。そのため、準備方法としては、流動性や安全性を重視した金融商品が良い。

 そして残りが(3)の、リタイア後の生活で使うお金となる。

老後の生活費がどれくらいか、収支を試算してみよう

 さて、ここで質問である。

 みなさんは、リタイア後の毎月の生活費がどれくらいかかるか、ご存じだろうか。

 生命保険文化センターの意識調査によると、夫婦2人で生活する上で必要と考えられる「最低日常生活費」は平均22.0万円。その上、旅行やレジャー、身内とのつきあいや趣味などにかかる費用を加味した「ゆとりある老後生活費」は平均34.9万円となっている。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
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