平均7000万円の新築マンション、買ってはいけない?なぜ同一物件で1000万も差?
狙い目は豊富で割安な中古マンション市場
ただし、がっかりするのはまだ早い。鈍化しつつある新築マンションに代わり、中古マンション市場に人が流れている。前述と同じ国交省のデータによると、9月の東京都区部の中古マンションの新規登録件数は前年同月比7.0%増の9755件となり、19カ月連続して前年同月を上回った。
成約平均価格は前年同月比6.3%上昇の3835万円で、こちらも26カ月連続して前年同月を上回っている。新築マンションとは異なり、ずいぶん現実的な価格ではないだろうか。
「いわゆる実需層は、新築より安く買える築浅中古物件に流れていくでしょう。もともと、中古には築浅から築40年超の物件まで潤沢なストックがあります。日本にある既存住宅は約6063万戸で総世帯数の5150万件を上回っていますから、自分の予算や購入条件によって選べる物件が豊富にある市場なのです」(同)
国交省も、今後は中古取引を盛り上げたいと中古住宅のリフォーム補助制度などに力を入れている。しかも、中山氏いわく「相場にくらべて急激に値段が上がったマンションほど、値下がりも大きい」というから、じっくり待っていれば掘り出し物に出会えるかもしれない。
政府は今後も需要喚起の措置をとってくるだろうが、それに惑わされずに買うべきタイミングを見極め、堅実な資金計画を立てることが大事だ。住宅ローンの低金利傾向は急激には変わらないだろうし、需要が鈍れば、政府は必ず次の手、その次の手を打ってくるからだ。決してあせる必要はない。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)