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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

平均7000万円の新築マンション、買ってはいけない?なぜ同一物件で1000万も差?

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

「あまりに価格が上がりすぎたせいで、『実際に住むためにマンションを買いたい』という実需層は手が出ず、個人投資家も投資物件としては利回りが悪化するのでうまみがない。相続税対策組は15年の法改正による増税の前にすでに手当てを済ませたので、追加で不動産を買う必要がない。

 海外投資家については、まだ期待ができる部分があるものの、中国人投資家から見ると価格面での割安感は薄れているし、中国政府の方針もあり、今後は日本への投資は鈍る傾向になるでしょう。つまり、新築マンション需要を支えてきた4つのニーズがすべて減退傾向にあるということです」(同)

需要が減っても価格が下がらない謎

 需要が細れば価格は下がるのが、マーケットの原則だ。では、そろそろマンション価格も下落してくるのだろうか?

「実際、新築マンション価格は今後ピークアウトする可能性は高いでしょう。ただ、都市圏の不動産は『上がりやすいが下がりにくい』という特性があります。つまり、値段を下げれば売れるのはわかっているので、売る側としては下げたがらないのです。下げてしまうと、建築にかけたコストを回収できない可能性があるからです。

『損切り』という言葉は、不動産には当てはまらないと思っていいでしょう。損する価格に下げてまで売り切る必要はない、それより需要が回復してくるのをじっと待つ。これが、大手デベロッパーの基本スタンスです」(同)

 中山氏によると、実際にこんな話があったという。新築時に一戸だけ売れ残っていた4800万円の物件を一度引っ込め、相場を見ながら5800万円の未入居物件として売りに出した。なぜ同じ物件が新築時より高く価格設定できるのか疑問だが、なんと見事にその価格で売れたそうだ。

「周辺の高額な新築物件とくらべると割安で、お買い得に見えたんでしょう」(同)

 中山氏いわく「体力のある大手の物件は、そうそう値下げはしない。そのため、新築マンション価格が下がってくるのは、まだだいぶ先だろう」とのことだ。

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
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