賞味期限、実際より2割も短く設定?卵は生で2カ月もつ?お金が貯まる人の食品ロス回避法
では、食品ロスを減らすために、個人でもできることには、どんなものがあるのでしょうか。井出さんに“5つのコツ”を教えてもらいました。
(1)すぐ食べるなら、賞味期限が近いものを買う
「売り場の棚の奥にある、賞味期限が長いものを買うこと」が習慣になっている人も多いかもしれません。しかし、今日明日に食べることがわかっていたら、賞味期限や消費期限が近いものを買いましょう。「50円引き」「半額」などの割引シールが貼られているものもあってお得な上に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの廃棄食品を減らすことにもつながります。
(2)空腹で買い物に行かない!64%も無駄遣いする危険を回避
買い物に行くタイミングも重要。「おなかが空いた状態で買い物にいくと、最大で64%も購入金額が増える」というアメリカの研究結果があります(ミネソタ大学のアリソン・ジンシュー氏らの実験による)。空腹だと、あれこれ食べたくなるもの。家や職場で飴やチョコレート、お茶などを軽く食べたり飲んだりしてから、スーパーやコンビニに行きましょう。
(3)日なたに食品がある店は避け、適切な管理をしているお店を選ぶ
お弁当やお菓子、ドリンクなど、直射日光がサンサンと当たっている店は要注意。食品の賞味期限は「直射日光を避ける」「高温多湿のところに置かない」という前提で設定されることがほとんどのため、適切な品質管理をしているお店で買うようにしましょう。自宅に持ち帰ってからも、ガスコンロや暖房器具のそばには置かず、冷蔵庫など適切な場所にすぐに移動させることも忘れずに。
食品ロスが減れば貯金が増えて税金利用も有効に
(4)食べきれる量や使いきれる量を買う
安いからといって買いだめをしない。自分が食べきれる量、使いきれる量を買いましょう。外食でも同じく、食べきれる量を注文しましょう。どうしても料理が余った場合はドギーバッグ(食べ残しの持ち帰りバッグ)をお願いできないか、店に相談してみるのも一案。ドギーバッグを持ち帰った場合は、早めにしっかり加熱してから食べましょう。また、たとえ(いくら食べても定額の)ビュッフェでも、食べ残しをしないことが大切です。
(5)賞味期限が過ぎたものは、五感を使って状態を確認
賞味期限は、ある程度の余裕があることも多いので、少し過ぎた程度であれば、目で見たりにおいをかいだりして状態を確かめてみましょう。水分が多いものや薄味のものは、傷みやすいので注意。ただし、体調の悪いとき、小さな子どもや高齢者がいる場合は、消費期限はもちろん、賞味期限にも注意して食べましょう。
以上、食品ロス問題の実態と、すぐに個人で減らせる5つのコツについてお伝えしました。食品ロスが減れば、個人の無駄な出費も減って、お金が貯まります。そのお金を、ほかの大切なことに使うことができます。ごみ処理に使われている税金も、私たちの暮らしがより豊かになるために使われるようになることでしょう。まさに、いいことずくめです。まずは、身近なことから始めてみませんか?
(文=西山美紀/マネーコラムニスト)
【※1】「京都生ごみスッキリ情報館」
『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』 卵の賞味期限は通常、産卵日から3週間だが、実は冬場なら57日間は生食可。卵に限らず、ほとんどの食品の賞味期限は実際より2割以上短く設定されている。だが消費者の多くは期限を1日でも過ぎた食品は捨て、店では棚の奥の期限が先の商品を選ぶ。小売店も期限よりかなり前に商品を撤去。その結果、日本は、まだ食べられる食品を大量に廃棄する「食品ロス」大国となっている。しかも消費者は知らずに廃棄のコストを負担させられている。食品をめぐる、この「もったいない」構造に初めてメスを入れた衝撃の書!
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