手数料無料、換金率100%、ポイントも増える !?
フリマサイトで記憶に新しい問題としては、「メルカリ」で現金を出品して、それを購入するというものがあるだろう。例えば、現金2万円を2万5000円で出品するような、一見ナンセンスな行為も、クレジットカードでこれを購入し、即現金を手にしたい人にはありがたいものとなる。しかし、すぐに運営者側が厳しく取り締まりを行い、同様のケースは少なくなった。また、メルカリ側が販売手数料として10パーセントを販売者側からも取るために、売る側のメリットも、リスクの割には薄かった。しかし、そのような手法が撲滅したのかといえばそうではなく、むしろ場所を変えて、表面上は特定の品物を売買する形式で行われている。
新たな舞台になっているのは、販売手数料無料のフリマサイト「ラクマ」である。
例えばそこに、アイコス10台を15万円と出品するとする。アイコスの転売価格が2万円以上した時期だったら、右から左へ売れていた金額だ。だが、今は近所のコンビニでもアイコスが買えるほど普及しているために、そのような取引は成立しない。だが、ラクマではそれが成立することがある。
それは仲間内、もしくは出品の本当の目的を理解した人間同士での売買が行われるからだ。その目的とは、現金化である。
買い手側はクレジットカードを利用して支払い、売り手のラクマ口座には現金が入金される。この目的を共有した知人と取引することで、出品した物の売却価格分が現金化できるというわけだ。また、使用額に応じたクレジットカードのポイント分だけ自己資金を増やすことも可能である。ラクマでは、ときどきポイントバックキャンペーンをしているので、繰り返せばポイントをかなり増やすことが可能。しかも、この仲間は売買、口コミを通じて増えていくのが実態だ。また、商品の発送自体にはサイト自体は管理していないので、実際の商品がなくても取引は完了してしまう。もちろん、このような行為はラクマの利用規定に触れるもので、運営側に特定されればアカウントは凍結される。
しかし、商品が現実にあり、事情を知った人間だけで延々と売買が続けば、運営側は取り締まることはできない。このような行為で、クレジットカードのショッピング枠を100%の換金率で現金化することは可能なのだ。
この方法は果たして違法なのか、合法なのか--。
ある弁護士は、「詐欺罪に問われる可能性がある」と語る。
「販売手数料無料のサイトを利用したものにかかわらず、クレジットカードのキャッシング枠を利用した現金化は違法性をはらみます。そもそカード会社は、加盟店に対して立替払いをする際、現金化には応じないという方針や規約を持っています。それにもかかわらず、現金化を目的とした取引であることをカード会社に秘匿して、加盟店やフリマサイトへの出品者がその行為を意図的に行いカード会社から立替払いを受けることは、単なる規約違反にとどまらず、人を騙して(真実を告げずに)立替払いという利益を得ているわけですから、詐欺罪(10年以下の懲役)に当たると理解できるのです」
だが、現実的にはそれらを当局が取り締まることは難しい。またサービス提供者側が取り締まっても、現金化を求め、またそれに応じて利益を得ようとするものは、別のサービスやシステムを利用して同様のことが繰り返されるのは明らかだ。抜本的な対策は見つかっていない。
(文=花田庚彦/ライター)