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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

ゆとりある老後、年金プラス月額12.8万円必要?「ねんきん定期便」で老後不足額がわかる

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
ゆとりある老後、年金プラス月額12.8万円必要?「ねんきん定期便」で老後不足額がわかるの画像1「Gettyimages」より

 今や、年代を問わず、老後資金が心配だという方が増えてきた。

 たとえば20~30代は、将来自分たちが老後を迎える頃には十分な公的年金がもらえないのではないかという不安。40~50代は、いったい老後のためにどのくらいためておけばよいのか、現在の準備状況で足りるのだろうかという不安。

 60~70代は、すでに老後生活に入ってはいるものの、要介護や認知症などが身近な問題となってきており、どれくらい長生きするかわからず、手持ちの預貯金を取り崩してしまうのが怖い。寿命前にお金が底をついたらどうしようという不安などである。

不足額の試算が経済的な老後不安を軽減する第一歩

ゆとりある老後、年金プラス月額12.8万円必要?「ねんきん定期便」で老後不足額がわかるの画像2『親の介護は9割逃げよ:「親の老後」の悩みを解決する50代からのお金のはなし』(黒田尚子/小学館)

 いずれの年代からも相談を受けている立場として、みなさんの不安で切実なお気持ちはお察しする。

 しかし、「では不足するというなら、どれくらい足りないと思いますか?」と質問すると、「わからない」「考えてみたことがない」という方が多い。なかには、「それがわかるくらいなら、専門家に相談など来ない」といわんばかりの表情を浮かべる方もいる。

 たしかにその通りかもしれないが、どのような問題にせよ、対策を講じるためには、まず問題点を明らかにする必要がある。つまり、老後資金について、どれくらいのお金が足りなくなる見込みなのか、具体的な金額を試算することが肝心なのだ。

 そのために活用していただきたいのが「ねんきん定期便」である。

 ということで今回は、ねんきん定期便の見方や活用法などのポイントをご紹介しよう。

自分の年金額を知るためのツールである「ねんきん定期便」とは?

 ねんきん定期便とは、国民年金や厚生年金保険の加入者に対して、毎年、誕生月に日本年金機構から送付される書面をいう。過去の保険料納付実績と将来の年金見込み額に関する情報を加入者に伝えるツールとして、平成21年4月から送付されている。それぞれの年金加入者は、年金受給者となるまで繰り返し送られてきているはずだ。

 送付されてくるものは、ハガキ形式が基本。ただし35、45、59歳は、過去全期間の年金加入状況が付記された年金記録やパンフレット、「もれ」や「誤り」などがあった場合の回答票などが同封された封書で送付される。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
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