「初心者向けリスク限定型投信」という言葉に惑わされるな!高い手数料で割に合わず?
投資を始めてみたいけど、なんとなく怖い、損はしたくない、という人は多いと思います。でも「リスクを取らない限り、リターンは得られない」というのは投資における大原則ですから、怖いとか損はしたくないという人は投資をしなければいいわけですが、それでは金融機関は商売になりません。そこで、そういう人たち向けの商品と称して「初心者向け商品」を開発し、販売されていることがあります。
そんな初心者向けといわれる商品のひとつが、「リスク限定型投信」と呼ばれるものです。その多くは株価が大きく値下がりしても損失が限定されるというものです。これらは「投資をしてみたいけど、損をするのは怖い」という人の心をつかみます。しかしながら「儲けたいけど損はしたくない」、そんなうまい話は世の中にありません。儲けたければ損を覚悟しておかないといけないし、損するのが嫌なら儲けを諦めなければなりません。
リスクを限定する仕組みはさまざまですが、結果としては「リターンを諦めることでリスクを限定する」というのが基本的な構造ですから、特段有利でも安心というわけでもありません。むしろ仕組みを複雑にしたり運用の管理に手間をかけたりする分、投資信託のコスト、すなわち「信託報酬」といわれる運用管理費用が高めになっているのが特徴です。具体的な例を挙げて考えてみましょう。
「定期預金」+「株式100%の投資信託」
たとえば、あるリスク限定型の投資信託の中身を見てみると、株式の組み入れ比率は国内外合わせて10%強です。あとは債券や短期金融商品で運用されています。そして運用コストである信託報酬は0.8%程度となっています。同じようなタイプの投資信託のなかには1%を超える投信も多いですから、それほど高い手数料というわけではありません。
ところが、これと同じことをやろうと思えば、まったくの投資初心者でも簡単に実行が可能なのです。
ごく単純にいえば、こうなります。「リスク限定型投資信託」に100万円投資するのであれば、同じ100万円を「定期預金」に90万円預け、「株式100%の投資信託」を10万円だけ購入すれば良いのです。そうすれば、ほぼ同じぐらいの成果を出せるはずです。しかもコストの面でいえば、リスク限定型投信を100万円購入した場合の手数料は0.8%として毎年8000円かかります。