借換え需要は本当に一巡しているのか
超低金利への借換え需要はすでに一巡しているという見方もあります。図表2をご覧ください。これは、住宅金融支援機構が民間と提携して実施している全期間固定金利型の住宅ローンであるフラット35の申請件数の推移を示しています。
黄色の棒グラフがフラット35全体で、斜線の入ったグレーの棒グラフが、金利が引き下げられる「フラット35S」の申請件数です。このうち、「フラット35S」は借換えには利用できません。グラフをみるとわかるように、16年春のマイナス金利政策導入後にフラット35の金利が急速に低下したときには、フラット35全体の申請件数が大幅に増加しました。しかし「フラット35S」の件数はほとんど増えていません。逆に若干減っているといっていいほどです。
つまり、この時期には「フラット35S」を利用できない借換えによる申請件数が大幅に増えたものと推測されます。一時期、全期間固定金利型でありながら35年返済の金利が1%を切って、0%台で利用できるようになったのですから、借換えの需要が増えて当然です。
その後、フラット35の申請件数が減少し、「フラット35S」の占める割合が8割から9割近くまで回復、借換え需要は一巡したのではないかといわれています。
いつの時代にもチャンスを見逃している人がいる
でも、本当にそうなのでしょうか。高い金利の住宅ローンを返済しながら、「無事に返済できているのだから」と、特に気にもせずに借換えしていない人が少なくないように思えてなりません。
そんな人は、今が借換えの最後のチャンスかもしれません。今なら、住宅ローンの高い金利を引き下げ、返済額を圧縮し、返済期間を短縮できる可能性が高いのです。返済生活が格段にラクになるほか、予定より早く返済を終えて、リタイアに向けて老後資金の準備などを一足早く行うことができるようになります。残された時間はさほど長くないかもしれないので、できるだけ早く実行するのが安心です。
実際、多くの人が借換えによる恩恵を享受しています。住宅金融支援機構では毎年1回、住宅ローンを借り換えた人たちの実態に関する調査を行っていますが、それによると、図表3にあるように借換えによって88.1%の人が適用金利低下の恩恵を受けているのです。