高齢者狙う新たな詐欺多発!百貨店店員や警察官をかたり、銀行カード&預金奪う!
「犯人グループは、よほど心理学とマーケティングを研究しつくしているのか、あるいはシナリオライターがいるのではないか」――そう思わざるを得ないほど、深層心理を突き、時事や世相を巧妙に利用した特殊詐欺があとを絶たない。警察、行政、金融機関などが盛んに啓発活動を展開しているにもかかわらず、なぜ人は騙されてしまうのか。次に狙われる手口は何か。
高齢者が被害に遭いやすい“オレオレ詐欺”にスポットを当て、実際の被害手口を明かすとともに、警視庁および銀行協会、生保協会、柏市などの取り組みをシリーズで紹介する。第1回は、一般社団法人全国銀行協会(以下、全銀協)広報室に、被害の手口や防止策を聞いた。
全銀協をかたる詐欺
近年、オレオレ詐欺の新手の手口として、全銀協の職員などをかたってキャッシュカードを騙し取る手口が目立ってきた。警視庁が発表した「平成29年における特殊詐欺の状況について」の報告によると、平成28年は2,032件、平成29年は3,510件の被害の内、オレオレ詐欺による被害金などの受取方法は、キャッシュカード等詐取の被害が大幅に増えていることがわかる(表1 参照)。
――なぜ、キャッシュカード等詐取の被害が増えたのでしょうか?
広報室 各銀行において店舗の窓口などで不審な様子を察知した場合に、水際で被害を防止する“声掛け”などを行っているため、犯人側が、より確実に現金を受け取れるように、キャッシュカードや現金の受け取りに手段を変えたのではないでしょうか。
――全銀協にも被害状況の情報は届いているのですか?
広報室 すべての被害について連絡があるわけではありませんが、お客様から直接、相談も寄せられています。当協会への「全銀協をかたる詐欺」に関する相談件数は、今年の7月から9月の四半期に計166件あり、営業日に換算すると平均して一日当たり2~3件の相談があったことになります。
――いつ頃から、全銀協をかたる詐欺があったのですか?
広報室 2008年ぐらいから存在を認識しております。
――10年ぐらい前から、全銀協を騙る詐欺があったのですか。実際、どんな相談が寄せられていますか?
広報室 詳しい相談内容は申し上げられませんが、詐欺被害に遭われる前に「百貨店店員から電話があり、『あなたの名義のクレジットカードで買い物をした人物がいる。このままだとキャッシュカードも悪用される可能性がある』と言って全銀協に電話をするように指示されたが、これは詐欺なのか」というお問い合わせをいただいたり、実際に被害に遭ってしまった後に「キャッシュカードを渡してしまったが、どうしたらいいか」といった相談をいただいたりしています。