仮想通貨をやる人への税務調査が本格化している…ネット取引での儲けが税務署にバレる仕組み
ネット取引での利益を税務署が把握できる新制度
インターネットを利用した取引は所得の把握が難しいといわれているので、仮想通貨で利益を出した方々が「申告をしなくてもばれないだろう」と考えても、あながち間違いとはいえなかったかもしれません。だからこそ、新たに“情報公開制度”がつくられることとなったのです。
これは国税局が、今まで難しかった仮想通貨交換所へ照会をし、大きな利益を出した口座と、その氏名や住所の情報を得られるというものです。国税局は、リストをつくって上から順番に調査をすれば、数億円の利益を出した無申告者を簡単に見つけることができます。
税の原則として、徴収コストを最小にまで下げなければいけませんから、照会制度が始まれば、簡単に大きな結果を出せるかもしれません。
この照会制度は、仮想通貨交換所だけでなく、インターネットを用いたほかの有名サービスにも適用されます。民泊やシェアリングサービスなど新しいビジネスで稼いでいて、今まで申告をしていなかった方々は注意が必要です。
制度の濫用が行われないように、利益が1000万円以下の場合は照会できないなどのルールも盛り込むようです。年間1000万円の無申告は、庶民感覚からすると大きいと感じますが、まずは特別に悪質・大口なところへ調査にいくということのようです。
先日、仮想通貨の取引で得た所得を計算するエクセルファイルが、国税庁のホームページで公開されました。無申告の人間を見つけるだけでなく、納税者が正しく申告できるような環境をつくろうとしてくれているようです。国税庁ってほんとに素敵な組織です。ただ、仮想通貨に詳しい税理士の先生からは、「もう少し工夫が必要」という意見も出ており、国税庁にはまだまだ伸びしろがあるなあ、と感じたところです。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)