奨学金、一律で保証料“強制”徴収は支援機構の“問題隠し”だ…延滞者への取り立て、さらに厳しく

海外から「教育ローン」と言われる日本の奨学金

 大内氏が共同代表を務める奨学金問題対策全国会議の活動やメディアによる批判を受け、18年には「給付型奨学金制度」が導入されるなど、奨学金制度は改善に向けて動き出していた。その矢先に、今回の発表が行われた。

「この数年、支援機構は延滞者と連帯保証人への督促を強化してきました。しかし、17年の時点で2万件以上の督促対象のうち、強制回収できたのは175件のみです。無い袖は振れないのですから、それも当然。また、高齢化で連帯保証人が返済することも難しい。奨学金制度の改革が始まったタイミングで若者の現状を示す指標だった『延滞率』が不透明になると、若者の低所得や未婚化・少子化など、奨学金問題と関連する社会問題の存在も隠されてしまう危険性があります」(同)

 日本の経済状況を鑑みれば、若者たちは奨学金が返せなくて“当たり前”ともいえる。その事実としっかり向き合った上で、奨学金制度の構造改革に取り組まなければならないのだ。

「海外では、『日本の奨学金制度は教育ローンだ』と揶揄されています。それほど、本来の奨学金という意味からはかけ離れているのです。奨学金が本来の意味を取り戻し、日本経済を立て直すには、すべての学生が『給付型奨学金』を受けられるような大規模な制度改革が必要なんです」(同)

 16年、支援機構は奨学金返還を3カ月以上延滞している人を対象に「延滞が継続している理由」についての調査を実施している。もっとも多かったのは「本人の低所得(64.5%)」というものだった。若者たちの「返したくても返せない」という悲痛な叫びを耳にしているはずだが、保証料徴収によって学生の負担がさらに重くなることは必至だ。奨学金問題の解決は、また遠のいてしまったのかもしれない。
(文=真島加代/清談社)

【参考資料】
平成28年度奨学金の返還者に関する属性調査結果【概要】」(日本学生支援機構)

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