学資保険は一家の稼ぎ手である契約者の死亡に備えながら、子どもの教育費を準備していく保険だ。保険料の払込期間中に契約者が死亡すると、その後の保険料が免除となり、あらかじめ定めた学資金を受け取れる仕組みとなっている。
一般に「学資保険」という名称の場合、純粋に教育費の積み立てを第一に考えている。一方、「こども保険」という場合には、教育費の積み立てと契約者の死亡の両方に対処している点が大きく異なる。つまり、「こども保険」は契約者死亡時には育英年金や養育年金といった保障がついているため、満期時まで年間○万円という保険金を受け取ることが可能だ。
戻り率の良い保険、悪い保険というカテゴリーで考えるのであれば、「学資保険」は戻り率の良い保険、「こども保険」は戻り率の悪い保険という位置づけとなる。こども保険は契約者の死亡保障分の保険料が発生するため、戻り率が悪くなるというカラクリだ。しかし、これはあくまでも「契約者が死なない」と仮定した上での話。
半面、契約者が死亡した場合に保障の良い保険という意味では、育英年金が支払われる分「こども保険」に軍配が上がることに注意をしてほしい。
さらに学資保険は、学資金の受け取り方法によって大きく3つに分かれている。
(1)小学校、中学校や高校入学などの節目で祝い金を受け取るタイプ
(2)満期(18歳)時のみに受け取るタイプ
(3)大学の在学中の4年間にわたり、分割して学資金を受け取るタイプ
学資金の受け取り方法を「戻り率」で比べてみよう。戻り率の良いほうから(3)→(2)→(1)となる。学資金を受け取るタイミングが遅くなればなるほど、戻り率が良くなるということは、それだけ長く保険会社に保険料を預けているのだから当然だといえるだろう。学資保険といえども、単に1カ月に支払う保険料だけで比較することが難しい理由は、こんなところにある。
●学資保険のみでは足りない?
ところで政府の目標どおり、インフレ率2%が達成された場合、学資保険は役に立つのだろうか? インフレ下では物の値段が上がる。つまり、教育費の値上がりが予想される。例えば、現在大学4年間の学費を500万円とすると、10年先には609万4972円となる。年間2%で物価が上昇し続けると、たった10年で100万円以上値上がりする計算だ。
とても学資保険では賄いきれないことがわかるだろう。18年間では714万円にも達する。保険という商品は、超長期の固定金利を採用している。これまではデフレ経済の下、保険金が目減りすることは考えにくかったが、これからは発想の転換が必要になってきた。