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前者は教材の整備や講師の研修で補えるとしても、後者に関していうと、例えば、銀行、証券会社、保険会社などがスポンサーになって行う投資教育は、内容的に金融機関による「カモの養殖」のような様相を呈している。これは、金融機関が慈善事業ではなく営利企業である以上、仕方のないことだが、こうした利害関係に敏感になること自体が投資教育の中で伝えられなければならない。筆者自身が金融ビジネス側の人間でもあるので、疑いを持ちつつ受け止めていただいて結構だが、これは真に大きな問題だと思う。
●投資教育における3つのポイント
投資教育で最低限伝えるべき内容を3つに絞るなら、
(1)正しい損得計算方法
(2)リスクの扱い方
(3)投資ビジネスの構造
であろう。これらを正しく伝えるにはどうしたらいいか。筆者が、有効かつ必要だと思うことを2つ述べたい。
まず、中学校、高校の数学の事例として、金融の損得計算を何パターンか扱い、高校・大学の入試問題に、しばしば金融計算の問題が出るような状況をつくることだ。例えば、国民の大半が、中学生並みの計算をしっかりできるようになれば、毎月分配型の投資信託のような投資家にとって得でない商品が売れ筋になるようなことはなくなるだろう。
また、すでに学校教育を終えた人々にも向けて、金融機関ないしその利害関係者がスポンサーではないテレビ番組等で、金融ビジネスの利害を離れた投資教育を繰り返し伝える機会をつくることだ。私見では、スポンサーを意識せずに済むNHKのEテレ(旧教育テレビ)のようなメディアこそが、ぜひ、こうした啓蒙活動に取り組むべきだと思う。どなたか、やる気のある番組制作者はいらっしゃらないだろうか。
(文=山崎元/楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表)
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