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なぜ近年、税収上振れ続く? 18年度以降には解消の公算 険しい20年度PB黒字化

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト

●20年度時点でもプライマリーバランス赤字か

 一方、15年10月の消費税率10%への引き上げを前提とすると、国の税収は14年4.1兆円、2015年度8.2兆円、2016年度以降10.6兆円程度増加することになり、あくまで内閣府「中長期の経済財政に関する試算」をベンチマークとした試算であるが、20年時点でのプライマリーバランスの赤字幅は、平均名目2%成長を達成できれば20年度のプライマリーバランス赤字幅が6.2兆円まで縮小するという結果になり、14年度以降名目3%以上の成長率が前提となっている「経済再生ケース」の同11.9兆円を上回ることになる。

 以上をまとめると、名目成長率の水準次第で目先1~3年程度は欠損法人割合の低下が進むため、税収が上振れする可能性が高く、名目2%成長を実現できれば、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」の経済再生ケースを上回るプライマリーバランスの改善が期待できる。しかし、欠損法人割合が理論値まで到達する2~4年後以降は、税収の上振れは期待できなくなり、名目2%成長の前提を置いた場合でも、20年度時点のプライマリーバランスは6.2兆円の赤字となる。

 一方、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」によれば、基礎的財政収支対象経費は12年度の76.1兆円から20年度には経済再生ケースで84.0兆円、参考ケースでも81.5兆円となっている。あくまで推測だが、歳出拡大の最大の要因は社会保障費の膨張と考えられる。従って、20年度にプライマリーバランス黒字転換を達成するには、さらなる社会保障費の効率化で達成することが望ましいだろう。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト)

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。
第一生命経済研究所の公式サイトより

Twitter:@zubizac

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