「貯蓄もできる保険」はトクじゃない!?運用に回すほうがマシ
低解約返戻金型保険を販売する
東京海上日動あんしん生命。(「同社HP」より)
保険の中には、貯蓄効果を持っているタイプもある。「養老保険」「個人年金保険」「低解約返戻金型」などが代表的だ。
保障がついているうえに貯蓄もできるとなれば一石二鳥と思いがちだが、保険が貯蓄がわりになると考えるのは誤解である。
それはなぜなのだろうか?
「養老保険」は、保険期間中に死亡すると死亡保険金が受け取れ、満期になれば生存していても満期保険金が受け取れる。この保険金は払い込んだ保険料を上回るというのがポイントだ。
しかし、年齢が高くなってからの加入では、保険料も高くなり、満期保険金が払込保険料を下回る場合もあるので要注意。また、途中で解約すると、解約返戻金が支払った保険料を下回るリスクがあることも忘れてはいけない。
たしかに養老保険は貯蓄性が高かった時代もあったが、低金利時代の現在では予定利率も1%程度。10年物の国債とあまり変わらないのだ。
一方、「個人年金保険」は、将来に一定の給付を受けるための積立の金融商品。終身年金、保障期間付終身年金、確定年金、有限年金などさまざまなタイプがある。
とはいえ、こちらも今の低金利では積立利率は期待できない。0.8%か1%をやや越えるくらいだろう。
一挙両得を狙うより、「保険は保険」「貯蓄は貯蓄」と分けて考えたほうが賢明である。
検討の余地がある保険は?
このように保険と貯蓄は別物と考えるのが基本ではあるが、「低解約返戻金型」の保険だけは貯蓄を兼ねた保険として検討してもいいかもしれない。
「低解約返戻金型終身保険」には、
・東京海上日動あんしん生命:「長割り終身」
・富士生命:「E-終身」
・マニュライフ生命:「こだわり終身」
・メットライフアリコ:「つづけとく終身」
などがある。
これは、途中解約すると解約返戻金の戻り率が120%近くになるのだ。金利に換算すると1.1%になり、個人年金保険よりも高い利回りになる。それに、通常の終身保険に比べて保険料が安いことも魅力だ。
といっても、まったくデメリットがないわけではない。保険料満了時に途中解約した場合には、解約返戻金が支払った保険料の総額を大幅に下回り、元本割れになるのである。もし、少しリスクをとってもいいと考えるなら、「積立利率変動型終身保険」もある。これは外貨や株式で運用するタイプになっている。
だが、保険は10年、20年、30年と長期で続けていくものだ。この期間の保険料を、もっと利回りのいい運用に回したほうがリターンは大きくなる。
保険と運用は分けて考えたほうがよい。
(文=長尾義弘/フィナンシャル・プランナー)