円安進行で恐怖の貧しさ到来 物価や住宅高騰、輸入食品ばかり、外資乗っ取りで財産流出
1980年代後半に起きた不動産バブルを体験していない若い方も多いかもしれないが、要は一般庶民にとっては不動産に手が届かなくなるのだ。あの頃、六本木や銀座などの盛り場にはバブル紳士と呼ばれる人々が出現して、大量のお金をばらまいて賑やかに振る舞っていた。不動産バブルというものは、不動産をいっぱい持っている人やいっぱい手に入れられる人にとってはいいことなのだが、マイホームを一軒だけ持っているような庶民にはあまりいいことはない。
たとえ自分が住んでいるマンションの価格が3000万円だったものが5000万円に値上がりしたと言われても、だからといって売るわけにもいかない。なぜなら売って5000万円(と住宅ローンの差額)が手に入ったとしても、代わりに住む家を買おうとすればもっと高いし、同じようなレベルの賃貸マンションも簡単に見つかるわけではないからだ。
●一段階貧しい国家へと転落
もっと悲惨なのはこれから「夢のマイホーム」を買おうとする若者で、実は筆者の80年代バブル体験も同じ立場だったのだが、要は職場から遠くてほんのちっぽけな物件しか買えないし、もしそれを買わなければ来年にはもっと遠くてもっと小さな物件しか買えなくなるという恐怖が目の前にやってくるのだ。
筆者は若干結婚が遅かったため、結局バブル時代はそのような物件を買わずにやり過ごすことになったが、同世代の友人の多くは、そのような物件を多額の住宅ローンを設定して購入し、今なお給料の中から一生懸命ローンを返済し続けている。今回の円安で不動産バブルが起きるとすれば、その深刻度は前回の不動産バブルを心理的に上回るだろう。なにしろ日本国内の良い物件には、日本人は住めなくなるのだから。
日本経済を一生懸命支えている若者が購入できるのは、都心から電車で1時間以上離れた郊外の中古マンションということになる。一方で都心の優良物件と言われるマンションは80平方メートルの新築が1室2億円などという、サラリーマンでは到底手が届かない水準になる。1ドル=160円の水準が数年続けば、いずれそのような時代になる。