日本経済、今年半ばから確実に活況へ 家計収入と実質賃金アップ、雇用者数と輸出も増
一方で、現預金も30兆円以上増えているが、これは株で儲けたお金のほか、この2年で働く人が100万人以上増えたことが大きな要因となっている。非正規労働者しか増えていないという批判もあるが、マクロ経済全体では正規であれ非正規であれ、今まで給料をまったくもらっていなかった100万人以上の人が給料をもらうようになったわけであるから、明らかにプラスである。
さらにいえば、実際に増えた雇用はさらにその人数を上回る可能性が高い。なぜなら、今の日本では15歳以上の人口は減っているため、労働参加率が変わらなければ雇用は減って当たり前だったはずである。それがネットで100万人以上増えているということからすれば、仮に労働参加率が変わらなかった場合を仮定すると、この2年で実質150万人以上雇用が増えていることになる。これはまさにアベノミクスのプロビジネス的な政策の効果であるといっても過言ではない。
また、正社員についても増加の兆しが見えている。正社員の雇用に関してはどうしても時間を要するので、直近の7-9月の雇用者数でようやく前年比10万人増という状況だが、このまま景気回復が持続すれば今年は正社員の数が増えることが予想されるため、家計の収入もさらなる増加が期待できる。
●今年の日本経済を予測する
今年の日本経済を予測する上で最大のポイントは、春闘でどれだけ賃上げが実現できるかであろう。報道を見る限り、組合は昨年以上の要求をしており、経営者側からも前向きな発言が相次いでいるため、最低でも昨年以上の賃上げが達成され、今年は実質賃金がプラスになると期待される。
実質賃金は17カ月連続でマイナスであることから、アベノミクスの効果が出ていないと批判する向きもあるが、今年度から1人当たり賃金は15年ぶりの勢いで増え始めている。まさに近年稀に見る状況なのだが、それ以上に物価が上昇したために個人消費が落ちこみ、実質賃金もマイナスになってしまったのである。ただし、一時は4%を超えていた物価上昇率のうち2%分は消費増税分であるため、消費増税がなければ実質の雇用者報酬は昨年6月からプラスになっていたはずである。
ただ、消費増税の影響を除いた物価の伸びは足元で鈍化してきているため、今年前半には一時的に物価がマイナスになる可能性がある。その一方で、1人当たり名目賃金は最低でも昨年程度は上がることが期待されるため、実質賃金も今年4月からは前年比でプラスに転じると予想される。
物価の伸びが鈍化する理由の一つに、原油価格の下落がある。日本のような原油の大量輸入国は、円建ての原油価格が下落すると、所得の海外流出が急激に減ることになる。仮に年末にかけて原油価格が60~70ドル/バレルまで戻ったとしても、今年は所得の海外流出が年間9~10兆円抑制されることになり、家計への影響を計測するだけでも消費税率を1%程度引き下げるのと同等の効果となる。