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小林敬幸「ビジネスのホント」

なぜ新規事業は失敗するのか?事業計画破綻のパターン、売り上げ伸びず赤字拡大…

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者

思い込みを排して事業案を見直すことが重要

 新規事業の計画では、次のようなチェックポイントをもう一度確認してみるといいだろう。

・立ち上がり期に売り上げが上がり、認知が広まる「離陸エンジン」があるか。

 広告モデルなどではサイトを始めるのは簡単だが、売り上げが一定の規模に拡大するまでには時間と資金が必要になる。

・売り上げは本当に右肩上がりか。

 潜在顧客が無限に近く大量にいるか、リピーター客、継続顧客を確保する仕組みがあるかでないと、右肩上がりに売り上げを伸ばすのは難しい。

・売り上げの実質的な上限まで余地があるか。

 コンサルタント業や集客施設のように、実は、生産能力・処理能力の拡大に大きな制限があるのではないか。

・費用に応じた売り上げを確保できる方法があるか

 図4のように、費用のうち固定費の比率が多いと、損益分岐点を超えるまでは赤字が大きく、損益分岐点を超えると黒字が大きくなる。変動費の比率が大きいとその逆になる。ベストは、赤字の時に固定費が少なく変動費で対応し、黒字のときは変動費が少なく固定費で売り上げを確保することだが、実際はその逆になっていないか。

・どれくらいの規模のときに、マスメリットが取れるのか。

 効果逓減の法則により、マスメリットが効く規模にも上限がある。つまり、マスメリットは規模が小さすぎても大きすぎても効果がなくなる。その範囲の想定と実際は合っているか。

 3つの残念な新規事業案に共通していえるのは、自分たちが今担当している仕事や会社の既存事業の視点に無意識のうちにとらわれてしまった提案になってしまっていることである。結局、新しい分野の事業を自分の思い込みや予断を排して素直に正面からまっすぐ見れば、問題の所在もわかるし解決策も出てくるものだ。それはもちろん、言うのは簡単だが行うのはなかなか難しい。
(文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者)

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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