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小林敬幸「ビジネスのホント」

なぜ新規事業は失敗するのか?事業計画破綻のパターン、売り上げ伸びず赤字拡大…

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
なぜ新規事業は失敗するのか?事業計画破綻のパターン、売り上げ伸びず赤字拡大…の画像1

 本連載記事『なぜ新規事業は失敗するのか?陥りやすい残念なパターン、事業計画が狂うワケ』において、よくある残念な新規事業提案について、テーマパークなどの集客施設、コンサルティング事業、スクール事業を例に失敗しやすいパターンを解説した。

 今回は、広告モデルで陥りがちな失敗例を検証したい。

 インターネットなどのメディアによる広告モデルも、新規事業提案として多く挙げられる。情報提供や娯楽コンテンツを提供することで多くの読者・視聴者を獲得し、クライアントから広告料を取るモデルだ。テレビ・ラジオの民放の放送局、グーグル、フェイスブックも広告モデルだ。こうしたネット系ビジネスで短期間に巨大企業に急成長した成功例があるので、提案にもよく出てくるのだろう。

なぜ新規事業は失敗するのか?事業計画破綻のパターン、売り上げ伸びず赤字拡大…の画像2『ビジネスをつくる仕事』(小林敬幸/講談社現代新書)

 広告モデルの企画案についてくる事業計画は、最初に説明した図1よりも、もっと強気ですぐに大きな利益が出る図4のようになっていることが多い。この図4は、次のようなビジネスを想定している。

・サイトを立ち上げるのは、短期間かつ少ない資金でできる。従ってスタートが早く、売り上げが立つのも早い。

・売り上げ(青線)は、急な角度での右肩上がりの成長を示す。便利でよいメディアだとなると、ネットで拡散するのでアクセス数が短期間で増える。そのアクセス数に比例して広告収入も増える。

・費用(赤線)は、固定費がほとんどなので売り上げが大きくなっても、ほとんど上がらない。メディアというのは、いったん成立すると、読者・視聴者が倍に増えても、そんなに費用は増えない。少なくとも部外者にはそう見える。たとえば、個人がSNSなどで発信している場合、アクセス数がいくら増えても発信側の通信費・メディア費用はほとんど増えない。紙の媒体でも2万部刷るための費用は、1万部刷る費用の2倍よりはるかに少ない。

・結局、利益(=売り上げ-費用)は、損益分岐点を超えて売り上げが伸びると大きな利益が出る。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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