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『入社10年目の羅針盤』(岩瀬大輔著)ベストセラー特別企画(5)

「失敗確率が上がっても少し危険な手を打つと、仕事が面白い?」岩瀬大輔

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「失敗確率が上がっても少し危険な手を打つと、仕事が面白い?」岩瀬大輔の画像1岩瀬大輔氏
 昨年も数多くのビジネス書が刊行され、その中でもベストセラーの1つとして特に話題になったのが、ネット生保トップシェア・ライフネット生命保険副社長・岩瀬大輔氏が上梓した『入社10年目の羅針盤』(PHP研究所)だ。自身の経験を踏まえた実践的な内容が満載の本書を、「入社10年目の部下」に読ませるために購入する管理職も多いという。今回はそんな本書の中から、岩瀬氏が内容の一部をご紹介します。

●「少し危険だけれども面白い手」を打ってみる

 将棋棋士の羽生善治さんと対談する機会がありました。そこで印象に残っている言葉があります。

「多少のリスクがあっても、いろいろやってみるほうが僕は楽しい」

 羽生さんは、対局の中で勝利にもっとも近い手を打っているわけではなく、意識的にリスクを取って「少し危険だけど面白い手」を打っているのです。頂点を極めた人でも、さらに前に進むためにリスクと取って、常に他人よりも新しい手を考え、勝つ確率が下がっても、未知の領域に自ら飛び込んでいく。しかも、そのような状況を楽しんでいるのですから只者ではありません。

 仕事を楽しむのも同じだと思います。少しだけリスクを取って、同じ仕事でも、ちょっと冒険をしてみることで楽しくなります。

 例えば、

「あの顧客には今度こんな話をしてみよう」
「この作業にはもっと効率的な方法があるに違いない」
「こうするとどうなるんだろう」
「こうなるといいな」

 そう考えていれば退屈することはないし、発想力が高まって大きな企画を思いつくことだってあるかもしれません。冒険をしてみることで、時には失敗することもあるかもしれません。

 でも、それは必ず将来の糧になるはずです。

●「私の履歴書」を書くつもりで仕事しよう

 ステーブ・ジョブズの自伝は、Ⅰ・Ⅱあわせて100万部を超えるベストセラーとなりました。このように多くの方に読まれるのは、一部の有名人だけかもしれませんが、私は、「自伝」を書くつもりで生きていくべきではないか、最近、そう考えるようになりました。

 私たちは、一人ひとりかけがえのない人生、物語を刻んでいます。だからこそ、自伝として、誰もが歩んできた道を「わたしの履歴書」として書いていいはずなのです。将来、自分の子供や孫に「どんな仕事をしてきたの?」「どんな人生を送ってきたの?」と聞かれた時に、どのような物語をつづることができるのか、そう考えながら仕事を楽しんでいくべきではないでしょうか。

「おじいちゃんは安定した生活を好んで大企業で、コツコツと生きてきたんだよ」

 これも素晴らしい生き方です。

「おじいちゃんは社会の常識を変えるべく、どんどん新しいことに挑戦してきた。たくさん失敗もしてきたし、少しだけ成功もしたよ。いつでも思い切った人生を送ってきた。君たちにもそういう人生を歩んでほしい」

 あなたは、どんな「自分の履歴書」を書くつもりですか?

【本特集の目次】
(1)他人より8倍の仕事をするデキる人になるためには?
(2)『ほうれんそう』にうるさい上司への“逆ばり”対処法?
(3)苦難のライフネット生命を成長軌道に旋回させた起死回生策〜儲けの“元”を開示?
(4)すぐ怒りだす上司は扱いやすい?単純作業は最高の英才教育?

「失敗確率が上がっても少し危険な手を打つと、仕事が面白い?」岩瀬大輔の画像2
●岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
:ライフネット生命保険株式会社代表取締役副社長
東大法学部在学中に司法試験に合格するも、卒業後はボストン・コンサルティング・グループや投資ファンド会社を経てハーバード大学ビジネススクールに留学。同大学でMBAを取得し、上位5%の成績で卒業後は、戦後初の独立系生命保険会社・ライフネット生命保険の設立に参画。現在は同社代表取締役副社長を務める傍ら、2010年世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」にも選出され、毎年同会議に出席している。

BusinessJournal編集部

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