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オスのコオロギは、二枚の前翅をこすり合わせて「鳴き声」を出すが、二匹以上が寄り集まると「同相同期」の効果により、リズムが強化され、規則性も向上する。そのため、メスを効果的に引き寄せられると考えられている。
一方、カエルはコオロギと違ってグループでメスを引き寄せることはしない。一匹一匹のオスが個別に自分の居場所を知らせるために鳴くのだ。そのため、近くにいるカエルとは、できるだけ鳴き声が重ならないように鳴く。この重ならないように反対に同期をすることを「逆相同期」という。
本書では、人間の心理、自然界の戦略をはじめ、人間の生命維持活動、インフラネットワーク、最新のロボット制御システムなどに見られる「同期現象」が紹介されている。
「同期」の科学は、近年注目されている複雑系ネットワークのように、異分野を横断的に統合する概念として多くの可能性を秘めている。少々難解な概念だが混迷する社会やシステム、まだまだ未知な部分が多い人間の生物的機能への理解を深める知識として触れてみると面白いかもしれない。
(ライター/大村佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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