――実際に、コーチングによる学習継続の効果は出ていますか。
田久保 自身の力で学習するベーシックコースと合格特訓コースを比較すると、年間学習時間は2.5~3倍ほど増加しています。1年間は長いので、生徒がコーチの力を借りて「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価、検証)」「Action(改善)」の「PDCAサイクル」を上手に回せるような声がけを実践しています。
五月女 リリース前にモニター実験を行った結果、平均でTOEICスコアが100点アップしました。なかには200点以上アップした方もいるなど、リアルのスクールに劣らない成果を挙げています。学習時間は1日2時間という方が多く、学習の量と質をしっかり確保することでスコアアップにつながったのだと思います。
また、モニター実験終了後も「学習習慣が身についた」という声があります。TOEICが730点から965点にアップした方は外資系IT企業に勤務していますが、965点を取得したことで昇進の道が開け、キャリアが広がりました。もともとは800点を目指していたのですが、コーチから「900点を目指しましょう」とはげまされ、コーチと約束したことで900点超えを達成しました。
また、国内の人材会社で働いている方は、700点が海外赴任の基準だったのですが、コーチングにより「達成できました」という報告を受けています。TOEICのスコアアップがきっかけでさらに学習意欲が高まり、通訳案内士の資格取得を目指したりビジネス英語の学習に意欲を持ったりする方も多いです。
偏差値13アップで苦手な数学が得意科目に
――大学受験のほうは、具体的な実績についてはいかがですか
田久保 今年の春の大学合格率は約75%。これは、オンラインサービスではかなり高いです。早慶や関関同立など偏差値60以上の大学の合格率は4人に1人。なかには、3カ月で偏差値が13ポイントもアップして、苦手だった数学が得意科目になった例もあります。コーチが「寝る前に苦手科目のノートと教科書を広げる習慣をつけよう」とアドバイスをして、翌朝に否応なしに苦手科目に取り組むという方法で成果を挙げました。
――今後、オンライン学習はどうなっていくのでしょうか。
田久保 オンラインの強みを生かし、コーチ同士がネットワーク化されたり情報共有が進んだりすることで、より精緻なコーチングの実現を目指します。
五月女 各種データが蓄積されることで、ユーザーに対するコーチの精度や質がさらに高まっていくでしょう。ただ、データの活用による学習の効率化が進む一方で、AI(人工知能)ではどうしても代替できない「人がいつも見てくれている感」はこれからも残り続けると思います。
(構成=長井雄一朗/ライター)