格差をさらに広げる選抜制インターンシップ
就活業界はこのトレンドを察知し、優秀な学生を早期に囲い込みインターンを実施している。高学歴の学生をターゲットとする就活媒体「外資就活ドットコム」では、「外資就活アカデミア」と称し、優秀な学生だけを選抜して内定を支援する長期インターンを実施している。
YC塾はベイン・アンド・カンパニーやボストン コンサルティング グループなど、東大生でも難関とされる企業を受ける学生を集中支援する選抜コースを実施している。FactLogicは毎年、その年の外資系投資銀行内定者の半数を輩出。成果を出せない学生は途中で「リストラ」される厳しい制度だ。
このように「あらかじめトップ企業へ内定できる優秀者を囲い込んでコーチングする代わりに、インターンとして働いてもらう」就活媒体が増加。優秀な学生は学部3年・修士1年生の春に、これら名門・就活媒体のインターンを通過することが登竜門となっている。優秀な学生は1カ所で切磋琢磨し、早期内定を目指すのだ。
以上の実態を「売り手市場にあぐらをかいている就活生」は知らないまま、3月1日を迎える。「そろそろ受けたい企業でも調べるか」と腰を上げたときには、すでに全内定枠が埋まっているとも知らずに。
広がる格差に対抗するためにできること
トップの学生が学部3年生・修士1年生の春先から動きだし、普通の学生は1年遅れで就活へ挑む。その差は開くばかりだ。しかし、今からでも取れる対策はある。トップ学生が見ている媒体を知り、同じものを見ることから始めるのだ。
前述の優秀者限定インターン、「外資就活ドットコム」「ワンキャリア」をはじめとする上位層向けメディアには、早期就活前提でアドバイスが並んでいる。まずは上位層の動きを把握し、追いつけばよい。
優秀な学生が欲しい採用側もすべきことは同じである。上位層の動きを把握することで、優秀な学生の就活スケジュールを把握してほしい。スケジュールがわかれば、それに合わせた説明会や企画が実現できる。トップの就活生が動く時期を狙って選考を行えば、彼らを青田買いすることも可能だ。
余裕の売り手市場だからこそ拡大する優秀層と平凡な学生の就活格差。それを埋めるには、早期に動くしかない。早期に動けば、早期内定につながり、就活は早めに終わる。ダラダラと考えている時間こそ、自身の就活長期化を招くと覚悟したい。
(文=トイアンナ/ライター、性暴力防止団体「サバイバーズ・リソース」理事)