そのような流れを受けてか、一部の企業では大学入学前の成績を重視する傾向にあるようです。
就活をお見合いと表現することがありますが、大学以前の成績を見るということは、お見合い相手の過去を洗い出すことと同じような意味でしょう。見られる学生にしてみれば、過去の鎖にずっとつながれているようなもので、学歴偏重の差別意識を助長するだけで何の解決にもなりません。
新卒・中途のどちらの採用の場面においても、多くの企業において評価される共通要件は、人間関係構築力だと考えています。
企業に勤めている人で人間関係構築力に長けている人は、自社の風土や文化をよく理解し、それをどのように自分の仕事に活用できるかを考えることができます。
卓越した人間関係構築力をもっている人材は、希望する企業の内定に漕ぎ着け、そして企業内でも頭角をあらわし、良いキャリアパスを築くことができるはずです。人間関係構築力はすべてを凌駕します。
新卒・中途にかかわらず、就活は「個人のキャリアを決定する夢のある活動」でなければいけません。同時に企業にとっても採用は「自社の将来を担う人材を決定する機会」であり、夢のある活動でなければいけません。
企業の情報提供のあり方や姿勢は、今後問われてくるでしょう。また、情報を受ける側も企業の本音を理解すべき時なのではないでしょうか。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQメソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『国会議員秘書の禁断の仕事術』(こう書房)など多数。