スタバ、ドトールと何が違うの?失敗するカフェオーナーの条件
夢 お金はそんなに儲からなくてもいいから、みんなが集まってくる「陽だまり」みたいなお店をつくりたいと思っているんですよー。
私 陽だまりね~。そんなお店があったらいいよね~(おだまり!)
現実逃避の妄想
誇張でも笑い話でもなくって、こういうケースはすごく多いんです。それが現実逃避の妄想でとまっていればいいんですけれど、それを本気に形にしちゃう子が結構いるのが困りものです。ちなみに、私もこれは本当に危ないと思ったら、ちゃんとアドバイスして全力で止めていますので。
でも、先ほどの例みたいな相談を友達にすると、ほとんどが「えー、夢ちゃん、いいじゃーん! 夢ちゃんがカフェ出したらワタシ毎週通うし、友達にもどんどん紹介するよー」なんていう反応が返ってきて、それを真に受けて勘違いしてしまう人って多いんです。
でも現実は、そんなに甘くありません。
そもそも、オーナーが自分の好きな世界観を表現したカフェをつくったとしても、それをいいと思う人って、実はそんなにいないものです。私も北欧系カフェが嫌いなわけではないですけれど、でも別に「スタバで十分かなー」っていうのが正直なところです。世の中のほとんどの人って、そんなもんなんじゃないでしょうか。
売り上げを上げるには、客数が必要
それに、カフェって、商売として考えたら全然儲からないんです。飲食店の売り上げって、「客単価×客数」っていう、めちゃくちゃシンプルな式で表せます。この商売、そもそも客単価は低いですよね。そうすると売り上げを稼ぐには、本来は客数が必要になるのは言うまでもありません。マックとか吉野家のことを考えれば、すぐわかると思います。
ところが夢見がちなカフェって、ゆったりスペースを取って、お客にも「どうぞ好きなだけゆっくりしていってね」っていうメッセージを出しますよね。そうすると、コーヒー1杯でMacBook Airを広げて、何時間も居座る人がたくさん現れます。そんな迷惑なノマドを相手にしていたんじゃ、客数なんて増えようがないんです。要するに、低い客単価と少ない客数を掛け算したって、売り上げはたかが知れているわけです。なんでこんな基本的なことがわからないんでしょうね。
いったい時給換算でいくらなの……
本屋さんに行くと、「成功したカフェオーナーの体験談」みたいな本がありますけれど、それを見ると愕然とします。月商80万円とか平気で書いてあったりするんですよ。これ、利益じゃなくて売り上げですからね。そこから30パーセントくらいの食材費、十数万円の家賃、水道光熱費、それからバイトのお給料なんかを差し引いたら一体いくら残っているの? って聞いてみたいです。いくらお金が目的じゃないといっても、時給に換算したら、あまりに悲しくてやりきれませんよ。出版社も、こういうケースを成功事例なんて紹介したらいけないと思うんです。
ビジネスとして成立している「カフェ」って結局、スタバとかドトールとか、お客を大量にさばいてナンボの店がほとんどです。確かに、オーナーが自分の好きな世界を体現したようなオシャレ系のカフェで、しっかりと繁盛しているところもあります。でも、そういう店ほど、実はオーナーはちゃんと経営視点を持っていたりするんです。間違っても、夢見がちではありません。