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中国は「所得倍増」を掲げるが、米国を抜き去るというのは杞憂?

新興国減速でもBRICsは?GSとモルスタの予想は対照的

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「Thinkstock」より
 新興国の経済成長が鈍化している。

 中国の2012年の経済成長率は7%台に低下すると見込まれており、他のBRICs諸国の景気減速も鮮明となっている。過去10年あまりにわたり高い成長を遂げてきた新興国経済が、世界的な景気後退を受け、分岐点に差し掛かっているのは間違いない。このまま新興国経済は失速するのだろうか?

 11月29日、ゴールドマン・サックスは13年の株式市場動向や投資アイデア、マーケットを占う重要テーマについて、以下のトップテンを発表した。

(1)グローバルな成長=「こぶ」を乗り越えれば、開けた道が現れる。
(2)G4(米国、欧州、英国、日本)でのさらなる非伝統的な金融緩和。
(3)「配当利回り狙い」の根底の揺らぎ。
(4)米国住宅関連業界の安定化と民間セクターの持ち直し。
(5)ユーロ圏のグローバルリスクに対する影響軽減化。ただ、依然として問題の元凶に。
(6)ユーロ圏の中心国と周辺国の間にある根強い意見の相違。
(7)新興国経済の持ち直しは、再び生産能力の制約を受ける。
(8)新興経済国の分化が続く。
(9)コモディティー需給のひっ迫の中期的な緩和。
(10)中国の安定成長。だが、以前ほどではない。

●米国経済については楽観的な見方

 ゴールドマンは、米国経済について来年は日ごとに強さを取り戻し、13年の成長率は11.9%、14年の成長率は2.9%になると予想している。とくにS&P500種の銘柄に組み込まれている企業の売り上げは、13、14年とも4%を上回るペースで伸びると予測され、「S&P500種株価指数」は今後12カ月のターゲットとして1575まで上昇し、潜在的に12%の株式リターンが得られるであろうと示唆している。

 また、新興国についても成長は鈍化しているものの「ブラジル、ロシア、インド、中国(BRICs)の売り上げが多い企業の株式は、内需依存型の企業の株式を負かす」と予想するなど、概して米国経済、新興国経済とも強気の見方だ。

●BRICsブームの終焉か?

 一方、こうしたゴールドマンの予想とは対照的な見方もある。モルガン・スタンレー投資顧問のアナリストであるルチール・シャルマ氏(新興国とグローバルマクロの責任者)が、「フォーリン・アフェアーズ」(11月・12月合併号)に寄稿した巻頭論文『Broken BRICs』は、新興国経済について「BRICsブームの終焉」を予感させる。

 シャルマ氏の論文によると、最近流行の経済予測は、中国とインドが世界のGDPの半分を占めていた17世紀のように「アジアの世紀が来る」とみるが、「中国が米国を抜き去るというのは杞憂に終わるだろう」と指摘する。中国経済の成長率は3~4%に鈍化し、農村部の過剰労働力が消える「ルイスの転換点」も近いと分析している。そして「中国経済が減速すれば、ブラジルなどの輸出主導型成長も止まり、今後、新興国市場が一斉に伸びることはないだろう」と結論付けている。

 また、「11年時点で先進国と途上国の1人当たり収入は1950年代の水準に戻っている。これが現実だ」として「向こう10年は新興国の失敗が続くだろう」と予想している。「BRICsという概念ほど混乱を招いたものはない。4カ国に共通したものはほとんどない」というのがシャルマ氏の論理だ。

 シャルマ氏の寄稿は個人的なものであり、モルガン・スタンレー投資顧問のハウスビューではないが、ゴールドマン・サックスの新興国に対する見方とは対照的で興味深い。

 ともに、新興国がこれまでのように一様に成長するシナリオは考えにくく、新興国間で差が生じるであろうとの見方は共通しているが、「壊れたBRICs」と題するシャルマ氏と、「BRICsでの売り上げの多い企業の株式は、内需依存型企業の株式を負かす」と予想するゴールドマンの温度差は際立っている。

 はたして13年の新興国経済はどうなるのか? 

 鍵は中国が握っている。11月、同国共産党大会で胡錦濤総書記(当時)は、「2020年の国内総生産(GDP)と都市住民・農民の1人当たりの収入を10年比で2倍にする」とぶち上げた。新興国の経済成長はどこまで続くのだろうか。
(文=森岡英樹/金融ジャーナリスト)

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