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最近、なぜ株価暴落?「感情」がもたらした資金避難による円高、アベノミクス無関係?

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2月4日付日本経済新聞、5日付朝日新聞より
 1~2月にかけ、日本の株式相場は大きく暴落しました。2月4日の東京株式市場では日経平均株価の終値が前日に比べ610円安となり、今年最大の下げ幅を記録。今年に入ってからの株価下落率は1割を超えました。

 日本政府は、新興国経済不安のあおりを受けただけであり、日本の政策が原因ではないとの見解を示していますが、実際はどうなのでしょうか。今回は事実関係を整理し、考察していきたいと思います。

 まず基本として、経済は「感情」で動いています。「将来性を見込みながら動いている」とも言い換えることができます。経済政策は通常、その効果が表面化するのに早くとも1年半、通常2年ほどかかります。実体経済と株価が連動するという考え方は、この経済理論に真っ向から矛盾してしまいます。実際、安倍晋三政権の経済政策、アベノミクスが始まってからあまり時間が経過していない今、「物価が上がっただけで生活がかえって苦しくなった」「本当に景気回復しているのか」というのが多くの国民の実感だと思われます。

 つまりアベノミクスは、実際にまだその結果が出てないにもかかわらず、あくまで「期待」によって株価が上昇を続けていたわけです。裏を返せば、何かしらの「懸念」「失望要因」が発生すれば、実体経済が伴っていないため一気に株価が下落する恐れがあります。

 今回の暴落のそもそものきっかけは、アメリカの金融引き締めです。大雑把に説明すると、アメリカが市場に出ている資金量を減らす政策を取り、バブルを抑制するという動きです。「アメリカ単体」で見ればこの政策自体は間違っておらず、むしろアメリカでバブルが発生→経済崩壊→世界金融危機、という流れを事前に防いだ。つまり短期的な経済膨張を行いたい誘惑をグッとこらえて、危機を回避したという英断ともいえます。

●あおりを受ける新興国

 しかし、これはあくまで「アメリカ単体では」という話であり、世界全体で見ると少し変わってきます。今回のアメリカの金融引き締めで一番とばっちりを受けたのが、いわゆる発展途上の「新興国」です。

 国際金融のお金の流れとしては、アメリカが金融引き締めを行うと資金が新興国からアメリカに戻ります。そもそもなぜ新興国に資金が流れていたかというと、それは新興国というリスクを補って余りあるリターン(利率)が見込めたからです。新興国に比べ信用リスクが低い(=信用が高い)アメリカの利率が上昇すれば、このお金は当然アメリカに戻っていきます。

 また、投資家の観点で見ると、

・金融引き締めによりアメリカの金利が上昇
→ドル高(=ドルの価値が上がる)
→為替レートの関係上、他国から資金を引き上げないとドル資産運用に損失が出る

というのを嫌って、世界の投資家たちが新興国から資金を引き上げる流れが強くなります。そして、資金が引き上げられた新興国の経済は当然、縮小されると「思われ」ます。その結果、新興国の株価は暴落します。

 ちなみに、世界経済が危機に瀕した時は日本円が買われ円高が進みます。株価とあわせてここ数週の円レートを見ると、1ドル=105円ほどだった日本円が、最大同100円後半あたりまで円高進行しているのがわかります。日本の株価というのは円安が進むと上昇する傾向が非常に強いため、この「資金避難による円高」によって、ここ数日の日本市場における株価暴落が引き起こされたわけです。