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レンタル彼女、どこまでOKなのか? 実際に4時間のデートを体験

文=編集部
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「Thinkstock」より

 今、話題の「レンタル彼女」というサービスをご存じだろうか。簡単にいえば彼女代行であり、規定の料金を払ってお好みのキャストとデートを楽しむというものだ。テレビ番組で紹介されたことでインターネット上でも話題になり、ここ数年、利用者が急増しているという。

レンタル彼女の相場

 調べてみると、すでに複数の業者がサービスを展開している。料金は1時間あたり5000~7000円が相場で、人気キャストは割増になっている場合が多い。1時間単位で利用時間を決められる業者もあれば、「3時間コース」のようにあらかじめパック制になっているところもあり、いずれも延長する場合は1時間あたり4000~5000円の追加料金を払う必要がある。また、指名料として2000~3000円、交通費として2000~3000円(都内23区の場合)かかるのが一般的なようだ。

 たとえば、1時間6000円のキャストと3時間デートした場合、1万8000円に指名料と交通費(それぞれ3000円と仮定する)を加えて、合計2万4000円を支払う必要がある。デート中に発生した費用はすべて客である男性側が負担するので、レストランに入って食事をしたり、映画を鑑賞したり、遊園地などに行ったりした場合、それらの料金も加算される。

 また、レンタル彼女は利用規約で性的なサービスは一切ないことを掲げており、自宅やホテルへの出張も行っていない。トラブルを避けるために、車でのドライブやネットカフェ、レンタルルームなどの個室に入ることもできない。あくまで「恋人気分」「疑似恋愛」を楽しむためのサービスということのようだ。

安全性と法律からの観点

 まず認識しておきたいのは、レンタル彼女はれっきとした「派遣型接客サービス業の一種」ということだ。つまり、法律に違反したサービスではない。しかしサービス内容を誤解してしまうと、風営法の第一章二条7項の「異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」に該当する可能性が出てきてしまう。

 ネット上では「じゃあ、何をしたらいいのか?」「レンタル彼女を頼んで、むなしくならないのだろうか」といった反応も見られる。男性としては、一度は頼んでみたいものの、いまだに謎が多く、「本当に満足できるのだろうか」と二の足を踏んでしまうのが実情だろう。そこで、実際に利用してみることにした。

実際に4時間のデートを体験

 ある業者のサイトを見てみると、キャストはメインである20代前半をはじめ、30代前半までの女性が揃っている。写真は、顔がはっきりわかるケースと一部が隠れているケースがあるが、夜の世界のそれとは違って派手なタイプは皆無で、どちらかといえば「地方の女子大生」のような清楚で「地味かわいい」女性が多い印象を受ける。

 今回、筆者が指名したのは20代後半で落ち着いた感じの女性だ。サイト上の申し込みフォームに希望の日時と利用時間などを書き込み、せっかくなので普段はまったく行かない場所に、と希望のデート内容には「代官山でカフェに行きたい」という旨を書き込んだ。予約が完了すると、早速彼女からメールが届き、「今から楽しみです」と明るい文面が並んでいる。「代官山は詳しいんですか?」「こんなお店はどうでしょう?」と提案してくれるので、デートスポットなどに詳しくなくても、一緒にプランを立てることができる。

 どんな食べ物が好きか、お酒は飲めるかなど、メールでお互いの情報を交換し、当日は15~19時の間にカフェと散歩を楽しむという流れに決まった。お互いに服装を教えていたため、待ち合わせ場所に行くと、彼女の方から「こんにちは」と見つけて声をかけてくれた。いわゆる業者然とした感じはなく、強いていえば飲み会などで初めての女性に会う感覚に近い。

 あいさつなどをしながら10分ほど歩いて、最初の目的地であるカフェに入り、とりあえずカフェラテを2つ注文した。筆者は銀行振込を選ばなかったので、この時点で3万4000円(基本料2万8000円に指名料と交通費それぞれ3000円ずつ)を彼女に支払う必要がある。「代金、いいですか?」という彼女の言葉に、一瞬事務的な匂いがしたものの、お互いまた何事もなかったかのように会話に戻った。

「最近、彼女と別れたばかりなんです」「出会いがなくて……」とこぼす筆者に対し、彼女は笑顔を絶やさず、しっかりと目を見て話してくれる。さっき会ったばかりとは思えないほど、自然に会話が盛り上がっていく。少なくとも、こちらにそう思わせるところはさすがといえる。

 メニューを筆者の方に向けて見せてくれたり、水がなくなっていると気づくと「お水いただけますか」と店員に声をかけてくれたり、気配りも忘れない。デート中の費用はこちらの負担とはいえ、彼女のほうから何か食べたがったり、無理にオーダーしようとすることもなかった。

 その後、店を出て散歩に。レンタル彼女では手をつなぐのはOKのようで、歩いていると彼女の方から自然と手をつないでくれた。当然だが、傍から見れば本物のカップルに見えるだろう。そんなことを考えていると水たまりに足を突っ込みそうになったが、彼女が事前に「危ないよ」と体を引いてくれたおかげで助かった。トイレに行って帰ってくると「おかえり」と言ってくれるところなども含めて、ホスピタリティが徹底されている。

 マンガとラーメンが好きだという彼女は、「最近は(映画化された)『寄生獣』と『アオハライド』を観ました」「(量が多く、高カロリーで知られる)ラーメン二郎を完食したこともありますよ!」と教えてくれた。プライベートを執拗に詮索するのはNGということだが、普段の生活や他のお客さんとのデートなどについても、聞けば普通に答えてくれる。会話の最中、何度もこちらの名前を呼んでくれるのはうれしいが、二度ほど間違えられたのが、残念といえば残念だ。

 1時間ほど寒空の下を歩いた後、まだ時間があったので、お酒も飲めるカフェに入った。ビールとカクテルで乾杯をして話をしていると、バッグから手づくりのクッキーを取り出してプレゼントしてくれた。メールの中で筆者が「甘いものが好き」と書いていたのを見逃さず、この日のために用意してきてくれたのだ。このあたりのツボを押さえたサプライズはお見事である。お礼を言ったりしているうちに19時になり、彼女とはお別れした。

メリット・デメリット

 利用した感想は、単純に女性と話をしたいだけであれば、キャバクラやガールズバーのようなお店に行った方が間違いなく安上がりということだ。また、性欲解消が目的の場合はしかるべき風俗店に行くべきである。その点、レンタル彼女は決して安いとはいえず、制約も多いサービスだ。しかし、本来恋人同士が持つ心のつながりを提供してくれる点が、この業態の最も高い付加価値であろう。

 実際、最初に代金を支払ったとはいえ、帰り道には本当に1日デートを楽しんだような気持ちになった。リピーターも多いらしく、顧客満足度はかなり高いと思われる。

ビジネスの拡大背景

 国立社会保障・人口問題研究所の調査によると「交際している異性はいない」と回答した未婚者(18~34歳)は男性61.4%、女性49.5%で、いずれも前回から上昇している。また、1月には新成人の約80%が恋人なし、そもそも約50%が恋愛自体を未経験という事実も話題になった。

 今回体験したレンタル彼女は、そういったシングル層がつかの間のデートを楽しむだけでなく、恋愛相談やデートの予行演習といった需要もあるそうだ。街で見かけるカップルも、気づかないだけで、意外に少なくない数が“レンタル”だったりするのかもしれない。一定のニーズがあり、業者側も高品質のサービス提供を続けていく限り、今後もレンタル彼女ビジネスは進化していきそうだ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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