くるるの土地は一筆を複数の権利者が共有しており、その持ち分の分母は一兆にも上るほど複雑で、管理会社は地権者と個別に賃貸契約を結んでいる。この地権者は府中駅周辺地域の相場に比べて、くるるの賃料が著しく安いことから、大和地所コミュニティライフに対して昨年7月に増額を求める書面を送付した。
ところが大和地所コミュニティライフから書類受領の連絡はあったものの、その内容への返答や話し合いは一切ない。さらに同社は、話し合いをしないまま賃料相当額を供託し、没交渉のまま現在に至っているという。この土地の契約期間は昨年7月末までだったが、更新は行われていない。そのため、地権者は次のような通知書を送付した。
「今日迄、貴社と弊社の間では本件に関する話し合いも更新契約もなされておらず、貴社は謂わば無権利状態で弊社所有不動産を不法占拠している状態です。一方的に賃料を供託するような貴社の行為が地権者との信頼関係を著しく破壊し、くるる全体の問題を深刻化させていることは周知の通りです」
大和地所コミュニティライフは今年4月に日綜コミュニティから社名変更したが、この地権者にはその挨拶すらないという。
くるるをめぐっては、5月17日付当サイト記事『北朝鮮系パチンコ店と保育施設が同居…府中駅前の奇異な複合ビルで、重大トラブル勃発!』において詳述しているが、別の地権者が大和地所コミュニティライフから長い間嫌がらせを受けていたこともわかっている。
くるるは、大和地所コミュニティライフの親会社である大和地所レジデンス(旧日本綜合地所)の不動産投資事業1号案件で、かつ基幹物件とされており、大和地所グループにとっても重要案件である。今年3月のくるる10周年記念式典には、大和地所グループ、日本綜合地所、日綜コミュニティが3社連名で祝電を出している。日本綜合地所グループは2009年に破綻し、今年4月に新社名でのスタートを切ったばかりだが、同社の管理能力不足という体質は変わっていないようだ。
もとより、府中市の保育中核施設と北朝鮮系のパチンコ店、「低レート」と堂々と賭博の表示をした雀荘が同居するという、奇妙な組み合わせのくるるだが、10周年を迎え矛盾や対立が表面化するという危機に立たされている。
(文=村上力/ジャーナリスト)