精子買い、産むだけ婚を求める女性増…夫不要でただの精子バンク扱い?
背後にあるのは、女性の未(非)婚化と技術の進歩。今は「結婚しない」と決めても、精子があれば「子ども(出産)」が望める。だからこそ「いい夫が見つからないなら、せめて子どもだけ」と考えやすいのだろう。
そもそも今の若い女性にとって、子どもこそが結婚に向かう最大のモチベーション。逆にそこをあきらめれば、50歳や60歳を過ぎてからでも結婚は遅くない。とはいえ、ギリギリまで出産はあきらめたくないのが本音だ。
それは、女性として「子どもを産みたい」との本能もあるだろうが、もうひとつ理由がある。一生ひとりでいれば、老後の面倒を見てくれる人はおらず、昨今よくいわれる「孤独死」のリスクも上がるばかり。
だからこそ、どんなかたちでも自分の味方になってくれる子どもが欲しいのだ。
旧態依然とした法制度では対応できない現状
実は今回、拙著『恋愛しない若者たち』を上梓するうえで行った定量調査でも、「産むだけ婚」を肯定的に見る女性が予想外に多いことがわかった。具体的には、「男性に子づくりだけ協力してもらう、または精子バンクを利用する『産むだけ婚』をどう思うか」と聞いた。
これに対し、「アリ。実践してみたい」とまで言い切った独身女性はわずか5%だが、「自分は実践しないが、アリだと思う」なども含む肯定派は、なんと約5割に上ったのだ。
肯定派の中には、「旧態依然とした日本の制度や概念」に疑問を抱く女性たちも大勢いる。
冒頭で紹介したキョウコもそのひとりだ。彼氏に「子づくりだけ協力して」と持ちかけた彼女だが、本音は「結婚して相手の籍に入るのがイヤだったから」だと言う。自分の母親が、ずっと嫁姑問題で苦労したのを見て育ったからだ。
もし夫婦別姓が堂々と認められるなら、彼と子どもを育てながら、友達のような関係を続けたかもしれない。しかし日本では、まだ夫婦別姓は法的に認められていない。注目の夫婦別姓を求める訴訟も、結局は今月16日の判決で退けられた。今後も苗字が異なるカップルは、法的には「夫婦」と認められない。
また、老舗和菓子店を継いだフタバは、夫をバカにしているようにも見えるが、「もし『家系』とか『跡取り』という概念がなければ、店を継がずに彼と2人で自由に暮らしたかもしれない」と時々考えるそうだ。