精子買い、産むだけ婚を求める女性増…夫不要でただの精子バンク扱い?
9月30日、筆者の新刊『恋愛しない若者たち ~コンビニ化する性とコスパ化する結婚』(ディスカヴァー21)が出版された。テーマは「恋愛しなくても、結婚はできる!」。
ここ数年、20代男女から、「恋愛は面倒」「コスパに合わない」との声をよく聞く。一方で、9割の若者は言うのだ。「いつかは(恋愛)結婚したい」と。
この矛盾を解消するためには、「結婚に恋愛は要らない」と、いったんスパッと切り離して考えるしかない。それが本書を執筆したきっかけだった。
本連載前回記事『「こんな夫と結婚しなければよかった…」 妻が夫に幻滅するダントツの原因はこれだ!』では、「結婚」と「恋愛」は別物で、むしろ「混ぜるなキケン」であると述べた。
結婚後、男性は育児や家事への参加を求められ、女性はできるだけ働くことを望まれる「共働き、イクメン」が標準化しつつある昨今。昔と違い、結婚後は恋愛に必要な「男性らしさ」「女性らしさ」とは真逆のものを求められるのだから、「恋愛と結婚は別」と割り切って婚活したほうが、結婚生活もうまくいくのではないか、と書いた。
また、旧態依然とした国の制度や概念に焦れて、すでに前のめりな女性たちは極端な方向へと向かい始めている。
「夫は要らない。子どもだけが欲しい」――こんな声を、もう何人から聞いただろう。
子どもだけ欲しい
たとえば、フリーランスでデザイナーをしているキョウコ(37歳)のケース。2つ年下の後輩と5年以上も半同棲中。いつまで待っても彼のほうから「結婚」を言いだす気配はない。時々、わざとテーブルに結婚情報誌「ゼクシィ」(リクルート)を置いて“結婚プレッシャー”をかけてきたが、彼は見て見ぬフリをする。そこで半年前、キョウコは思い切ってこう言った。
「もうあなたに結婚は期待しない。子づくりだけ協力してくれればいいから」
そう、彼女は経済的にもある程度、安定していたがゆえに「子どもと2人で生きていく」と決意したのだ。初めは「え?」と戸惑った彼。だが、「今後一切、養育費などは請求しません」とキョウコが一筆書いたこともあり、「それならば」と素直に協力した。
当初は、キョウコの女友達も「やめなよ」「もしこの先、働けなくなったらどうするの?」などと猛反対した。だが、キョウコは考えを曲げなかった。
そして今、妊娠5カ月になった。少しずつ大きくなるお腹をなでながら、彼女は言う。
「もともと、結婚に憧れはなかった。でも子どもだけは欲しかった。今はとっても幸せ。でもこれで、仕事からは一生逃げられないですね(笑)」
夫は精子バンク?
一方、実家の老舗和菓子店を継いだフタバ(28歳)は、小学生の息子を見ながら、こう振り返る。
「結果的に、パパ(夫)は精子バンクみたいな存在だったのかな」
フタバは大学3年生の時に妊娠した。相手は、当時付き合っていた1歳上の先輩で、今の夫だ。その時すでに中堅のメーカーに内定していた彼だが、フタバは長女のため、いつか実家の店を継がねばならないと知り、「だったら僕も、君を手伝って和菓子店で働く」と決意。婿入りする意思を固めたという。