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「もう結婚に恋愛は要らない! ~恋愛しない若者たち」

精子買い、産むだけ婚を求める女性増…夫不要でただの精子バンク扱い?

文=牛窪恵/マーケティングライター、世代・トレンド評論家、有限会社インフィニティ代表取締役 編集=平澤トラサク/インフィニティ

 背後にあるのは、女性の未(非)婚化と技術の進歩。今は「結婚しない」と決めても、精子があれば「子ども(出産)」が望める。だからこそ「いい夫が見つからないなら、せめて子どもだけ」と考えやすいのだろう。

 そもそも今の若い女性にとって、子どもこそが結婚に向かう最大のモチベーション。逆にそこをあきらめれば、50歳や60歳を過ぎてからでも結婚は遅くない。とはいえ、ギリギリまで出産はあきらめたくないのが本音だ。

 それは、女性として「子どもを産みたい」との本能もあるだろうが、もうひとつ理由がある。一生ひとりでいれば、老後の面倒を見てくれる人はおらず、昨今よくいわれる「孤独死」のリスクも上がるばかり。

 だからこそ、どんなかたちでも自分の味方になってくれる子どもが欲しいのだ。

旧態依然とした法制度では対応できない現状

 実は今回、拙著『恋愛しない若者たち』を上梓するうえで行った定量調査でも、「産むだけ婚」を肯定的に見る女性が予想外に多いことがわかった。具体的には、「男性に子づくりだけ協力してもらう、または精子バンクを利用する『産むだけ婚』をどう思うか」と聞いた。

精子買い、産むだけ婚を求める女性増…夫不要でただの精子バンク扱い?の画像3出典:ディスカヴァー21/インフィニティ「20代男女の恋愛と結婚に関するアンケート」2015年

 これに対し、「アリ。実践してみたい」とまで言い切った独身女性はわずか5%だが、「自分は実践しないが、アリだと思う」なども含む肯定派は、なんと約5割に上ったのだ。

 肯定派の中には、「旧態依然とした日本の制度や概念」に疑問を抱く女性たちも大勢いる。

 冒頭で紹介したキョウコもそのひとりだ。彼氏に「子づくりだけ協力して」と持ちかけた彼女だが、本音は「結婚して相手の籍に入るのがイヤだったから」だと言う。自分の母親が、ずっと嫁姑問題で苦労したのを見て育ったからだ。

 もし夫婦別姓が堂々と認められるなら、彼と子どもを育てながら、友達のような関係を続けたかもしれない。しかし日本では、まだ夫婦別姓は法的に認められていない。注目の夫婦別姓を求める訴訟も、結局は今月16日の判決で退けられた。今後も苗字が異なるカップルは、法的には「夫婦」と認められない。

 また、老舗和菓子店を継いだフタバは、夫をバカにしているようにも見えるが、「もし『家系』とか『跡取り』という概念がなければ、店を継がずに彼と2人で自由に暮らしたかもしれない」と時々考えるそうだ。

牛窪恵

牛窪恵

マーケティングライター、世代・トレンド評論家、有限会社インフィニティ代表取締役。1968年、東京都生まれ。日本大学芸術学部映画学科(脚本)卒業後、大手出版社に入社。5年間の編集およびPR担当の経験を経て、フリーライターとして独立。2001年4月に、マーケティングを中心に行う有限会社インフィニティを設立。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系列)、『キャスト』(朝日放送系列)、『あさナビ』(テレビ朝日系列)などに出演中。トレンドやマーケティング関連の著書が多数あり、「おひとりさま(マーケット)」(2005年)、「草食系(男子)」(2009年)は、新語・流行語大賞に最終ノミネートされた。近著は『アラフォー独女あるある! 図鑑』(扶桑社)。

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牛窪恵【公式ブログ】

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