今年マンションや戸建てを買うべき人、買ってはいけない人…価格下落待ちの落とし穴
アベノミクス以来、都市部の地価は上昇を続けており、割高感を感じている人もいるでしょう。実際、都市部の住宅はやはり割高だと思います。ようやく価格上昇は止まり横ばい傾向になっていますが、自民党政権が返り咲く前の2012年と比べると、エリアにもよりますが3割ほど高くなっています。
一方で、史上最低水準といわれる住宅ローン金利や住宅ローン減税の拡充など、ローンを組んで家を買う環境としては悪くありません。こうした状況で、マイホームを買おうかどうか迷っている人は少なくないと思います。
では、今年はマイホームの買い時なのでしょうか、待つべきなのでしょうか。
まず考えたいのは、家は買うつもりだけど地価は今後下がる、という予測があってこそ「今ではない」という判断が成り立ちます。
そこでまことしやかに噂されているのが、2018年問題と東京五輪問題(20年)です。
2018年問題とは、黒田東彦日本銀行総裁と安倍晋三首相が任期満了に伴い退任し、後任の日銀総裁や首相が金融緩和方針を転換する可能性です。
これまでは日銀が国債やETF、J-REITなどを買って株価を支えてきましたが、金融市場はいったいどうなるのか。仮に方針転換が望ましいものでも、彼らほどリーダーシップを持って率いていけるかどうか。そこに疑念が生じると、15年8月のチャイナショックではありませんが、金融不安で株は売られ、つられて地価も下落する可能性が指摘されています。
東京五輪問題も同様に、景気を支える材料の出尽くし、特に地価上昇で売却益を狙う中国人投資家たちが爆買いしている都心マンションで売り物件があふれることなどにより、やはり株式市場も不動産市場も下落するのではないかといわれています。
もちろんどうなるかはわかりません。しかし、このシナリオが現実になるならば、もう少し待ったほうがよいのではないか、と考える人もいるでしょう。
ローンを組む難易度が上がる?
しかし、ここで悩ましいのは、もしそのような状況がくると、住宅ローンを組む人には逆風となる点です。
地価が上昇あるいは安定しているときは、金融機関は積極的に住宅ローンを販売します。不動産の担保価値がしっかりしていれば、仮に差し押さえて物件を売却しても回収の見込みが立つので、金融機関は安心できるからです。そのため現在も金融機関の融資姿勢は積極的で、物件金額満額のローンを組めるフルローンが一般的です。