4月28日から5月8日まで開催されていた「肉フェス TOKYO 2016 春」および「肉フェス FUKUOKA 2016 春」で提供されていた鶏肉の寿司「ハーブチキンささみ寿司」を食べた人たちに、食中毒の症状が発生しました。
報道されている写真を見る限り、鶏肉の表面のみを軽く炙り、鶏肉の中心部はほとんど生の状態で提供されています。寿司を販売した店舗が掲載しているポスターには「新鮮だから可能なお寿司に」と記載してあります。
2011年に石川・金沢で発生した、牛肉のユッケによる食中毒事件も、生食には適さない肉を、素人まがいの調理人がユッケとして提供したことで発生しました。
今回の鶏肉の寿司の食中毒も、屋外の温度管理が十分にできない環境での提供が、果たして適切であったかという点が疑問です。また、使用した鶏肉が寿司用として適切であったか、調理・提供方法が適切であったかということも検証しなければなりません。
食中毒を出さないための手順
食品は、安全という土台の上でおいしいものを提供することが基本です。食材が潜在的に持っている危害(potential hazard)を把握し、食中毒が起きない処理を行ってからお客様に提供することが最低限必要です。
「新鮮な食材には危害がない」「うちで取り扱っている食材には危害などない」と思い込むのではなく、鶏肉にはサルモネラ菌、カンピロバクター等の潜在的危害があると思って取り扱うことが必要なのです。
一定数以上の食中毒菌を体内に取り込んだ場合に、食中毒は起きます。食材に潜在的に付いていた細菌などが増殖し、一定数以上に菌が増えた状態で体の中に入れると食中毒になるのです。
つまり、取り扱う食材の菌が増えないような管理が必要なのです。鶏肉を保管するときには、菌が増殖しない摂氏5度以下で保管しなければなりません。鶏肉の寿司を提供した店舗は、保存温度および表面を炙ってからお客に提供するまでの温度管理が適切であったのでしょうか。また、調理した人物は、適切な温度管理を行わなければ食中毒の危険があると認識していたのでしょうか。