私たちは一人ひとり、生活スタイル、食事の好み、生活環境が異なります。そして、忙しく生活しているために、「栄養のバランス」について軽視しがちな人も多く、なかには意識すらしていない人もいます。
たとえば、朝食を欠食したり、夕食後に間食をしたり、過度の飲酒・飲食をしたり、サプリメントや健康補助食品を食事の代わりにしていたりと、明らかに栄養のバランスが乱れているにもかかわらず、自覚のない人がいかに多いことでしょうか。また、ビタミン、ミネラルなど特定の栄養素にばかり注目して、「これさえとっていれば大丈夫」と自分の食行動や食習慣を反省しない人も増えています。
実は、そのような考え方や方法が、かえって健康を損なう結果を生みかねないのです。そうならないためにも、栄養のバランスにもとづいた正しい食事を実践することが必要です。
栄養のバランスのとれた正しい食事が日常的であれば、健康維持、生活習慣病予防、アンチエイジング、健康寿命の延伸につながるのは周知の事実です。
「栄養のバランス」とは何か?
しかし、この栄養のバランスという言葉は、わかっているようでわからない抽象的な意味合いを持つ言葉です。ここでいうバランスとは、いくつかの食品を組み合わせて必要な栄養素を過不足なく摂れていることをいいます。
なぜ、いくつかの食品を組み合わせる必要があるかというと、どんな食品であっても、カラダに必要なすべての栄養素を含んでいる唯一無二の食品は存在しないからです。食品に含まれる栄養素の種類とその含有量は、食品により千差万別です。そのため、栄養素の特徴が異なる食品を組み合わせることでバランスをとることが可能となります。
カラダに必要な栄養素は、わかっているだけでも50種類以上あります。よりたくさんの種類の食品をとることで、よりたくさんの種類の栄養素を摂ることができます。つまり、料理がバラエティに富めば富むほど栄養豊かな食事となり、栄養のバランスが整ったカラダに良い食事となりえるというわけです。
ほかに、栄養素の働きにも理由があります。栄養素同士は、お互いに助け合って働いています。たとえば、ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける、ビタミンCは鉄の吸収を助ける、ビタミンB12と葉酸は協力して赤血球をつくる、脂質は脂溶性ビタミンのビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの吸収を助ける、などがあります。