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有給取得したら反省文提出命令…国の「金曜一斉午後3時退社」構想でサービス残業増加も

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「首相官邸 HP」より

 政府や経済界は、個人消費を喚起するために月末の金曜日を午後3時に退庁・退社する「プレミアムフライデー」構想を明らかにした。金曜日の夕方を買い物や旅行などに充てるように促し、現在300兆円にとどまっている個人消費を360兆円規模に引き上げたい考えだ。日本経済団体連合会(経団連)は先陣を切って10月にもプレミアムフライデーを実施する方針だ。

 だが、プレミアムフライデー構想には各方面から否定的な見解が相次いでいる。複数の世論調査によると、6~7割は「経済効果はない」と考えているようだ。その主な理由としては、以下のようなものがある。

・収入が増えていないのに、消費が増えるわけない
・月末締めの仕事では、早く帰ることなど不可能
・ほかの日の残業が増えるだけ
・有給消化を促進するほうが先決
・時短が給料引き下げの口実にされるおそれがある
・時間ができれば金を使うだろうという発想は国民を馬鹿にしている

 圧倒的に多かった意見は、「収入が増えていないから、消費に回せない」というものだ。政府はアベノミクス効果による好況感をアピールしているが、国民の大多数は収入が増えていない。どちらかといえば、「生活が苦しい」と感じている世帯が多い現状で、遊興費にお金を回すようになるとは考えにくい。「お金に余裕はあるが、使う時間がない」という人を対象にするような施策は非現実的といわざるを得ない。

サービス残業増加のおそれ

 また、そもそも実現可能性の低さを指摘する声も多い。一部の大企業ではすぐにでも導入されるだろうが、社会全体に根付くとは考えにくい。なぜならば、一時期毎週水曜日を「ノー残業デー」として定時で帰宅するよう促す機運が高まり、多くの企業がその制度を導入したことがあったが、社会全体に広まったとはいいがたい。住信SBIネット銀行が2010年に行った「アフター5に関するアンケート」によると、ノー残業デーがある企業に勤めている人は全体の42%で、そのうち定時に帰ることができている人は20代で50%にとどまっている。

 日本は世界的にみても残業が多い。日本の正社員の1日平均残業時間は、韓国の2倍、フランスの3倍といわれている。これは、実際に勤怠管理表などで把握されているデータに基づく数値なので、サービス残業は考慮されていない。

 これほど残業の多い社会では、月に一度早く帰社させようとすれば、ほかの日の残業や休日出勤が増える結果となる可能性も高い。さらに悪いことに、サービス残業を強いるおそれすらある。ノー残業デーを導入しているある企業では、ノー残業デーである水曜日には定時の午後6時に強制的に退社させられるため、喫茶店などで打ち合わせをしたり、自宅に仕事を持ち帰るのが当たり前になっているという。これらは、すべてサービス残業だ。