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石原藤樹「その医療の常識、本当ですか?」

カルシウム摂取、骨折リスク低減と無関係…サプリは死亡リスク増大、骨粗鬆症への誤解

文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長
カルシウム摂取、骨折リスク低減と無関係…サプリは死亡リスク増大、骨粗鬆症への誤解の画像1「Thinkstock」より

 寝たきりにならずに健康的に年を取ることは、誰でも一番に願う年の重ね方です。寝たきりになる大きな原因のひとつは、骨折をすることです。

 骨折の原因はなんでしょうか?

 それは骨が外の力に対して弱くなることと、転ぶことです。このように病的に骨折をしやすくなった状態のことを、医学用語で「骨粗鬆症」と呼んでいます。

 そうはいっても、年齢と共に誰でも骨は弱くなりますし、体力の衰えから転びやすくもなりますから、どこまでが正常の加齢の範囲で、どこからが病的なのかというのは、難しい判断になり、まだはっきりと結論が出ているわけではありません。骨がスカスカの状態になっているかどうかは、レントゲンで判断が可能なのですが、数値化するのは難しく、あまり客観的ではありません。

 そこで登場するのが「骨密度」という検査です。皆さんも「骨粗鬆症の検査」として、受けられたことがあるかもしれません。市町村の健診などでも行われています。

 骨密度(骨塩量)というのは、骨の成分の主体であるカルシウムやリンなどのミネラルの量のことです。基本となるのはレントゲンの検査で、骨は筋肉や脂肪などの他の組織と比べて、レントゲン(放射線)の吸収率が違うことを利用して、「大体このくらいの量のミネラルが含まれている」という単位当たりの量を計算して数値化したものです。

 年齢と共に骨がスカスカになると、当然そこに含まれているミネラルも減っています。そんなわけで、このミネラルの量を測定することにより、骨折の危険性を推定しているのです。骨密度がある基準より低くなると、骨粗鬆症と診断されます。

 そもそもは骨粗鬆症とは骨折になりやすい状態のことですが、それを骨密度という指標で診断するようになったので、骨粗鬆症予防と骨折予防という本来は同じ目標が、微妙に違うのが実際です。

 骨量が維持されていれば、骨粗鬆症予防に有効、ということになるのですが、転びやすい人はそれでも骨折してしまいますから、骨量の維持と骨折予防とは意味が違うのです。

 私たちにとって重要なことは、骨粗鬆症という病気の予防ではなく、寝たきりの原因となる骨折の予防です。その点を間違えないようにしないといけません。

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

北品川藤クリニック院長。医学博士。1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科大学院卒業。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任
北品川藤クリニック

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