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中西貴之「化学に恋するアピシウス」

カキの驚愕の効能…内臓疾患や疲労に効果!究極のおいしいカキを食べる方法

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 都会のオイスターバーで新鮮な生ガキとワイン……「俺ってオシャレじゃない?」と思っている、そこのあなた。そのライフスタイルは、数万年前から進化していない可能性があります。

 人間は、古くから森の恵み、海の恵みに生かされてきました。今は高級食材になってしまったカキも、数万年前の貝塚からは大量に発掘されます。これは、私たちの遠い祖先が栄養豊富でおいしく、しかも動かないので捕まえやすいカキを貴重なたんぱく源としていたことを示しています。

 カキの魅力といえば、なんといってもそのうまみです。海中で生きる魚介類は、体内の水分を海水中に吸い出されないように、体内にミネラルや化学物質を蓄えることによって海水と自身の体の浸透圧とのバランスをとっています。

 魚やイカ、タコは味のない化学物質で浸透圧を調節していますが、カキなどの二枚貝は、うまみ成分のグルタミン酸を体内に蓄えることによってバランスをとっています。そのため、二枚貝は魚とは異なる独特のうまみを持っているのです。

なぜ広島、三重のカキはおいしいのか?


 お店で席に案内され、「さぁ、カキを注文しよう!」と思ってメニューを見ると、日本地図や世界地図と共にさまざまなカキの名前が書かれていて、何をどう注文すればいいのか戸惑うことはありませんか?

 外国産と日本産では見た目も味も大きく異なりますが、日本産でも産地によって味が驚くほど異なります。食用に供されるカキは数種類しかないため、メニューに大量のカキが並んでいても生物学的な種としてはほぼ同じものです。

 また、海外産といっても味のいい日本固有種が海外で養殖され、それが輸入されていることも多いのが実態です。前述の浸透圧との関係から、生息環境の海水の塩分濃度によってグルタミン酸の蓄積量が異なることが味に大きく影響しており、一般には塩分が濃い海水で育つほどうまみが強くなるといわれています。それは、広島や三重、長崎などの湾で育ったカキがおいしい理由のひとつでもあります。

産地表示のある生ガキ(撮影=筆者)
 味は生息環境のプランクトンの種類や食べる人の好みにもよるので、「とにかく塩分濃度が高ければおいしい」というわけではありませんが、「今年はエルニーニョの影響で南米近海の海水温度が高いらしいので、今日は南米産を食べてみようか」「北米西部で熱波の被害が出ているので、カリフォルニア産を選んでみよう」などと、科学的根拠に基づいて塩分濃度の高そうな地域で獲れたカキを食してみるのも楽しいものかと思います。
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