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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

「肺炎球菌ワクチン摂取の広告は詐欺まがい」批判は正しいのか?誤解だらけの予防接種

文=新見正則/医学博士、医師
「肺炎球菌ワクチン摂取の広告は詐欺まがい」批判は正しいのか?誤解だらけの予防接種の画像1「Thinkstock」より

 今回は肺炎球菌ワクチンのお話です。まず、“非常識君”が「広告は詐欺まがいだ」と弁舌を振るっています。「65歳からの肺炎予防」といった文言で肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されています。非常識君が噛みついているのは、高齢者肺炎球菌感染症の定期接種に関する広告です。

 定期接種とは「予防接種法」という法律に基づいて自治体(市町村及び特別区)が実施する予防接種で、費用は公的に補助されます。その年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、そして100歳になる方が対象者です。非常識君が疑問視しているのは、今まで成人用肺炎球菌ワクチンを接種していないという縛りがある点です。つまり、現状では一生のうちに1回しか公的補助で予防接種は受けられないのです。

“極論君”が尋ねます。

「1回でも公的補助をしてもらえば、それでいいではないですか。その後、永続的に肺炎球菌ワクチンの効果が持続するのでしょうから」 

“常識君”のコメントです。

「ワクチンは感染性を弱くした、または感染性をなくした病原体もどきを接種します。ですから、特別なワクチンを除いては、一生涯の免疫効果を持続することは困難です。天然痘に対する種痘というワクチンは世界最初のワクチンですが、これが大成功を収めました。こちらは一度接種すると永続的に免疫が維持され、その結果、死亡率が40%ともいわれた天然痘が世界から撲滅できました。このように、一度の接種で永続的な免疫効果を得ることはなかなか難しいのです。

 インフルエンザワクチンは毎年打ちますね。また、風疹や麻疹のワクチンも効果的ですが、10年もすると免疫効果は減弱します。昔は、風疹や麻疹は日常的に遭遇する病気だったので、不顕性感染といって感染しても免疫があるので発症しない、ということを繰り返して免疫力を維持していたのです。これをブースター効果といいます。風疹や麻疹のようにワクチンが普及して発生する頻度や感染者数が激減すると、ブースター効果が働きません。そこで、免疫力を維持するには再度のワクチン接種が必要なのです」

最良の肺炎球菌ワクチン接種の順番

 ここで極論君の質問です。

「つまり、肺炎球菌ワクチンも一生に一度接種すればいいというものではないのですね」

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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