北朝鮮は15日、14日の新型中長距離弾道ミサイル「火星12」の発射実験が成功し、「大型核弾頭の装着が可能」と発表した。14日の実験で使用されたミサイルの飛行距離について、韓国の聯合ニュースは射程5000キロと報道。6000キロ以上とされる大陸間弾道弾(ICBM)の射程距離には及ばないものの、金正恩朝鮮労働党委員長は「米国本土と太平洋作戦地帯は我々の攻撃圏内に入っている」と豪語し、米国を強く牽制したとされる。
また、実験当日は北京で100カ国以上の指導者ら1500人が集まって、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する初の国際協力サミットフォーラムが開幕。北朝鮮によるミサイル実験の強行は会議のお祭り気分を文字通り吹き飛ばし、会議の主催国でもあり、北朝鮮に最も強い影響力があるとされる中国の最高指導者、習近平国家主席の顔に泥を塗ったことは間違いない。
金委員長は米国やその同盟国が「正しい選択をするまで、核兵器と攻撃手段をさらに多く製造し、必要な実験を進めよ」と指示。これに対抗するため、米トランプ政権はすでに米中央情報局(CIA)内に北朝鮮に関する特別情報工作組織「朝鮮ミッションセンター」を立ち上げたほか、在韓米軍も対北スパイ工作機関を近く創設するなど、米国防情報局(DIA)など米軍の諜報組織とCIAが連携。さらに、独自の北朝鮮情報を持つ中国も巻き込んで、金委員長抹殺のための斬首作戦が本格始動することが予想される。
「朝鮮ミッションセンター」
CIAのマイク・ポンぺオ長官によると「朝鮮ミッションセンター」(Korea Mission Center)が10日に発足し、北朝鮮の核・ミサイル開発の進捗状況などの情報収集を専門に担当。「北朝鮮は米国や同盟国の深刻な脅威になっている。ミッションセンターの設立は、こうした脅威への対処をより統合的、かつ決断力あるかたちで指揮しようとするものだ」と説明。
この理由についてポンペオ長官は「(朝鮮半島は)火薬庫のような脅威にさらされていて、これは在来式戦争につながりかねない」としながら、局地的衝突が実際の戦争に発展する可能性を警告している。
CIAは2015年以降、情報を効率的に管理するため「センター」をつくっているが、特定国を対象としてセンターをつくるのは初めて。センター長は公式には発表されていないが、韓国メディアは「CIAの代表的な北朝鮮専門家で韓国系米国人のアンドルー・キム氏が任命されたらしい」と伝えている。キム氏は今年初めにCIAをいったん退職しているが、トランプ政権の対北朝鮮新方針である「圧力と関与」政策の推進のため、再び担ぎ出されたもので、それだけトランプ政権が北朝鮮問題を深刻に捉えていることを意味している。