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アベノミクスで「所得300万以下」世帯が増加、30代の約2割に

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「Thinkstock」より

 厚生労働省は10月24日、2017年版の厚生労働白書を公表した。白書によると、10年は高齢者1人を現役世代2.8人で支えていたものの、15年には現役世代が2.3人に減っている。さらに、団塊の世代が75歳以上になる25年には1.9人まで落ち込む見通しだ。現役世代2人で高齢者1人を支える社会が10年以内に訪れるということである。

 白書では、女性や高齢者などの労働参加を勧めている。現役世代(=労働人口)が増えれば、税金を納める人が増え、結果的に高齢者を支える側が増えるからだ。政府は定年退職の年齢引き上げと年金受給開始引き上げを進めているが、これらの施策は加速するかもしれない。また、定年後も働く意思のある人には働ける環境を用意することが必要だろう。

 厚労省が毎年行っている「国民生活基礎調査」などのデータをもとに、1994年から2014年までの家計の推移を世代別に分析したところ、65歳以上の高齢者世帯では年間の総所得が「100万円未満」は5ポイントあまり下がって13.7%、「200万円以上・500万円未満」はおよそ6ポイント上がって48.2%と、総じて所得水準が向上している。白書は「年金制度の成熟化」が影響していると分析している。

 逆に、世帯主が30代、40代、50代では、年間の総所得が「300万円未満」という低所得世帯の割合がいずれも増えている。とくに30代がもっとも増えていて、およそ6ポイント上がって17.5%となっている。

 年金暮らしの高齢者が相対的に豊かになり、若者がますます貧困化している格好だ。アベノミクスを巡っては、現役世代の給料が増えていないという批判もあるが、それを裏付けるような数字といえるのではないだろうか。

 若者の給料が上がらない理由のひとつとして、企業が儲けを内部留保に回して社員に還元しないからだとも言われるが、その問題も何とかしてほしいものだ。

 白書は、景気の影響だけでなく社会保障が相対的に高齢者に手厚い構造となってきたことも背景にあると指摘しており、現役世代の所得を向上させる手だてを含め「全世代型の社会保障」への転換を図るべきだとしている。そういう意味では、安倍晋三首相が先の衆院選で消費増税分を教育無償化の財源に充てるとしているのは、正しいことだといえる。

 ちなみに、今回発表された白書には、日本の現状を解説する資料として「100人でみた日本、日本の1日」が添付されている。これがとてもわかりやすいので紹介する。日本の人口が100人だとすると、次のようになるという。

・仕事についているのは51.0人(雇われているのは45.3人、自営は4.2人)
・失業者は 1.6人
・短時間労働者(週35時間未満)は 15.6人
・会社の健康診断で「有所見」は 24.3人
・老齢年金受給者は 25.5人
・病気やけがなどで通院しているのは 39.0人
・生涯でがんになるのは 男性30.7人、女性24.1人
・習慣的に運動しているのは(20歳以上)男性15.0人、女性11.7人
・生活習慣病の患者は 14.0人

(文=横山渉/ジャーナリスト)

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