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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国、習近平が終身国家主席か…2百万人の幹部処分、1千万人殺戮の文化大革命再来の懸念

文=相馬勝/ジャーナリスト
中国、習近平が終身国家主席か…2百万人の幹部処分、1千万人殺戮の文化大革命再来の懸念の画像1習近平氏(写真:新華社/アフロ)

 中国共産党中央委員会は2月下旬、国家主席の任期の上限に関し、連続2期10年までとする条文を憲法から削除する改憲案を全国人民代表大会(全人代:日本の国会に相当)に提出した。3月5日に開幕する全人代で可決され、正式決定する。中国の改憲は2004年以来14年ぶり。習近平国家主席(党総書記=64)は13年に国家主席に就任しており、今回の全人代で再選される。任期の上限撤廃により23年以降の3期目はおろか、終身主席も可能となる。

 国家主席は国家機構のトップで、国家元首に相当する。党トップである総書記の任期については党規約に明確な規定はなく、習氏に党、国家、政府、さらに軍という中国の4大権力が習氏に集中することになり、実質的に習近平独裁体制が始動する。

 また、今回の全人代では、習氏の指導理念を憲法に明記することも決まるほか、国家と政府の最高指導部人事にも習氏の側近が多数任命される見通しだ。党内外で習氏への個人崇拝の動きが広がっており、かつての毛沢東張りの独裁者の誕生となり、党内外では1000万人以上が殺害された文化大革命(1966~76年)の悲劇が繰り返されることを懸念する声も出ている。

反腐敗運動

 中国国営新華社通信によると、党中央委は国家主席、国家副主席の任期について「全人代の毎期の任期と同じである」などと規定した憲法79条3項のうち、「2期を超えて連続して就任できない」と上限を定めたくだりを削除するよう提案。改憲案ではこのほか、党大会で党規約に盛り込まれた「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」に関し、指導理念として憲法前文に明記するよう求めている。さらに、新国家機関「国家監察委員会」の設立を定めた条文も追加した。非党員も含むすべての公職者の汚職を取り締まり、習政権の反腐敗闘争を支える母体となる。

 北京の外交筋は、次のように指摘する。

「これらのことから考えると、習氏は共産党一党独裁体制を維持することで、自身が権威ある中国の最高指導者として、党員の生殺与奪権を握り、汚職を取り締って、党の体質を変えていくことを目指しているようだ」

 習氏は2012年11月の党総書記就任後、初の地方視察として、かつてトウ小平氏が提案し、習氏の父、習仲勲氏が建設した最初の経済特区である広東省深圳市を選んだ。

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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