中国、習近平が終身国家主席か…2百万人の幹部処分、1千万人殺戮の文化大革命再来の懸念
このため、習氏は深圳市での内部講話で、次のように述べている。
「われわれ(中国共産党)はどのようにして『党が軍を指導する』(という大原則)を少しの動揺もなく堅持していくのか。それこそが、ソ連崩壊から汲み取ることができる教訓だ。ソ連軍は非政治化して党から離れ、国家の軍隊となり、ソ連共産党は武装解除せざるを得なくなった。何人かの人々がソ連の国民を救い出し、ゴルバチョフ(ソ連共産党書記長兼ソ連邦大統領)をなんとかしようと考えたが、ゴルバチョフは党の危機の渦中にあって、何日も何もできなかった。なぜならば、ゴルバチョフは一党独裁体制維持のために必要な武力装置を用いることができなかったからだ。エリツィン(ロシア共和国大統領)は戦車の上に乗って講話を発表し、軍隊を完全に無力化し、軍はいわゆる『中立』の立場をとらざるを得なかった。このため、ゴルバチョフは最後にひと言『ソ連共産党を解散する』と宣言した。これによって、こんなに大きかったソ連共産党はなくなってしまったのだ。(全人口に対する)党員の比率からいえば、ソ連共産党は中国共産党よりも大きかったのに、だれ一人『男』はおらず、なんの抵抗もできなかったのだ」
つまり、習氏は当時のゴルバチョフ大統領がソ連軍の軍権をしっかりと握っていなかったからこそ、ソ連共産党の一党独裁体制が崩れ去ったのだと指摘しているのだ。
「絶対的権力は絶対に腐敗する」
習氏は今回の全人代で国家主席の任期を無制限とすることで、党と軍の最高権力を独占することができるほどの強大な権限、つまり誰も習氏を倒すことができない絶対的な独裁者として君臨することになったのである。
「これによって、習氏は党の浄化ができ、彼が生きているうちは、中国共産党の一党独裁体制は揺るがないと考えているとしても不思議ではない。しかし、かつて英国の歴史家は次のように述べている。『権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する』と。これは、かつて絶対的な権力者だった毛沢東が、側近である江青ら四人組を使って、トウ小平ら実権派を倒すために文化大革命を発動し権力を守ったものの、四人組は腐敗し、毛の死とともに、ただちに権力を奪権された例が如実に示しているように、習氏の絶対権力もいずれ腐敗することは間違いない」
このように、前出の北京の外交筋は指摘している。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)