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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

北朝鮮、核開発を中止へ…中国に奴隷外交開始、米国からの軍事攻撃時の支援を嘆願

文=相馬勝/ジャーナリスト
北朝鮮、核開発を中止へ…中国に奴隷外交開始、米国からの軍事攻撃時の支援を嘆願の画像1北朝鮮・金正恩氏が訪中 習主席と会談(KCNA/UPI/アフロ)

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が3月下旬の中国の習近平国家主席との首脳会談で、「トランプ米大統領は我々(北朝鮮)に何を求めているのか?」「中国は米軍が我が国に軍事侵攻しようとした際、助けてくれるのか?」などと再三にわたって、習氏に詰め寄っていたことがわかった。

 習氏は「朝鮮半島の平和的環境を維持することは重要であり、中国は朝鮮半島問題に関して引き続き建設的な役割を果たしていきたい」と応じて、北朝鮮を支援することを約束した。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」が明らかにした。

 習氏は支援の条件として北朝鮮に対し、核実験や大陸間弾道ミサイル発射実験などの核開発を中止すること、中国に対する誹謗中傷をやめることなどを要求。このうえで、習氏は北朝鮮との国境に位置する中国・新義州に中朝経済開発区を創設するほか、対北経済支援の再開も了承したという。

朝貢外交

 今回の首脳会談は明らかな朝貢外交だった。「中国は米帝国主義の走狗(犬)」などと最大級の対中非難を繰り返していた北朝鮮が、手の平を返して中国を礼賛し、あろうことか金氏が習氏を「兄貴」と呼んだからだ。これは北朝鮮の国営メディアである朝鮮中央通信が報じた、3月26日の習氏主催の晩さん会における金氏の挨拶全文を読めば明らかだ。

 はじめに金氏は、今回の中国訪問は金氏が要請したことを明らかにしている。「朝中両国関係を代を継いで立派に継承・発展させる一念を抱き中華人民共和国を電撃的に訪問しました」として、金氏が自分の都合で「電撃的に訪問」したにかかわらず、習氏は「党と国家事業を導く多忙ななかでも自ら時間をつくって」、金氏ら一行を受け入れたと明かしたのだ。そのうえで、金氏は「我々を真の兄弟のように熱烈に歓待してくださっている尊敬する習近平総書記同志と彭麗媛女史に心から謝意を表します」と習夫妻に丁重にお礼を述べている。しかも、このなかで「真の兄弟のように」という表現で、金氏自身が習氏よりも下位の「弟」であることを認めてもいるのである。

 このあとにも、金氏は「兄弟」という言葉を使っている。「川一つはさんで接する兄弟的隣人である両国」との表現で、北朝鮮は中国にとって「弟」であることを認めている。北朝鮮の最高指導者である金氏が、北朝鮮は中国の従属的立場にあることを明言するのは初めてであり、極めて異例。さらに、これを北朝鮮の国営通信社である朝鮮中央通信が報じていることから、金氏は「自分は習近平主席の弟分」であると宣言しているようなものだ。

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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