至れり尽くせりの「財形貯蓄」をやらない理由がない…何もせず住宅購入の頭金が貯まる
毎年この時期になると、新卒で入社した会社から初めて給料をもらった頃を思い出す。就職した当初は、とにかく毎朝決まった時間に起きるのが辛くてたまらず、1カ月が本当に長く感じられた。
それでも、初任給の給与明細を見て、思っていたよりも手取り額が多かったこと(初任給から控除されるのは、所得税と雇用保険のみで、厚生年金や健康保険が差し引かれるのは5月分からだから)。これを何に使おうかなどと、アレコレ思い巡らしていたことなどが、何だか懐かしい。
とはいえ、大学時代からずっとひとり暮らしで、家計簿もきちんとつけるなど結構マメで堅実だった私は、最低限必要な生活費以外は、ほとんど貯蓄&投資に回したのではなかっただろうか(もちろん、親には何かしらのプレゼントを買って送った記憶はあるが……)。
もうそろそろ50代に突入する今、資産運用は、まさに「はじめが肝心」だということを痛感している。あの時、少額からでもコツコツ積立を始めていなければ、現在の金融資産だけでなく、おそらくファイナンシャルプランナー(FP)としての私は存在しなかっただろう。
さて、そこで今回のコラムでは、新社会人のみなさんにおススメしたい「財形貯蓄制度」についてご紹介しよう。
新社会人が選びたい金融商品は、リターンよりも保全性、利便性重視
ソーシャルレンディング比較サービスを運営するクラウドポートが実施した「初任給に関するアンケート調査」によると、やはり初任給の使い道の1位となったのは「貯金」。さらに、その貯金を将来的に運用したいという人も57%にのぼる。選びたい金融商品については、資産運用の経験の有無にかかわらず、「リターンが小さくても保全性が高いもの」(59.8%)という回答が最多だった。このほか、「1万円くらいの小額から投資できるもの」(34.1%)、「手間がかからずほったらかしで運用できるもの」(27.4%)といった回答も上位に挙がる。
この結果から、多くの新社会人が、どちらかといえばリターンよりも少額から投資でき、放っておくと、いつの間にか貯まっているような利便性の高い金融商品を選ぶ意向が強いことが窺えるだろう。
勤労者の資産形成を国が支援する「財形貯蓄」
少額から始められるものといえば積立である。たとえば、給与振込などと同じ銀行で、「自動積立定期預金」をするもよし。ある程度のリスクを受忍できるなら、証券会社等で「るいとう(株式累積投資)」や「投資信託積立」を始めるのもいいだろう。