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米朝会談後、北朝鮮が日本を相手にせず…「拉致問題は解決済み」との主張拡散

文=長井雄一朗/ライター
米朝会談後、北朝鮮が日本を相手にせず…「拉致問題は解決済み」との主張拡散の画像1北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(写真:AP/アフロ)

 アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は史上初の米朝首脳会談を終え、米朝間の雪解けに向けて動き出した。2人が意気投合したのかどうかは不明だが、少なくともトランプ大統領は金委員長に対して好感を持ったようだ。

 しかし、安心はできない。国際社会はこれまでも北朝鮮に欺かれてきた歴史があるからだ。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長の高英起氏は、現地で見た会談の様子を踏まえて「非核化は条件次第」と予測する。

 一方、南北首脳会談や米朝首脳会談の実現で安堵しているのが、在日コリアン社会だ。今後は日朝首脳会談の開催も現実味を帯びてきており、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会は大きな期待を寄せる。

 激動の東アジア情勢をどう見るのか。高氏、日韓両国で事業を行う韓国人ビジネスパーソン、在日コリアンに話を聞いた。

米朝協議はこれからが本番…始まる神経戦

 金委員長は、中国の習近平国家主席との中朝首脳会談、韓国の文在寅大統領との南北首脳会談、そして今回の米朝首脳会談によって、国際社会へのデビューを果たした感がある。一度は挫折しかけた米朝首脳会談の成否は現時点では判断できないものの、両者とも満足げにシンガポールを後にした。

 しかし、なぜ長年の宿敵である米朝が一気に接近したのか。アメリカ側は、会談に先立ち「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」を掲げ、核廃棄の先行を主張していた。本来これは絶対に譲れない一線であったはずだが、会談では非核化の約束を取りつけたものの、共同声明に「CVID」に関する文言はなく、具体的なスケジュールについても明記されなかった。

「今回の米朝合意では具体的なことが決まっておらず、“おおざっぱな合意”というのが印象です。もともと、トランプ大統領も金委員長も細部まで詰める時間がないこともあり、決めるのが難しかったのでしょう。今後、積み残しとなっている非核化の具体策が米朝の高官同士で話し合われますが、むしろこれからが本番です。米朝首脳とも、『大きな方向性を決めたのだから、あとは事務方で話し合うべき』という性格だからこそ、合意に至ったといえます」(高氏)

 今週にも開かれる米朝高官級協議は大きな注目点だ。アメリカ側はマイク・ポンペオ国務長官、北朝鮮側は金英哲党副委員長の参加が想定されており、これから米朝の神経戦が始まる。

「私は、最初から米朝高官級協議こそが本番だと考えていました。金委員長は非核化には前向きですが、それはあくまで条件次第。ちなみに、北朝鮮は今回の共同声明で『体制保証』という文言を使っていません。今後、具体的には朝鮮戦争の終結や経済支援を要請してくるでしょう」(同)

 米朝首脳会談後のトランプ大統領は記者会見を行い、「北朝鮮への経済制裁を据え置きにしたまま非核化を進めるとなると、その費用は誰が払うのか」という記者からの質問に、「費用については、韓国と日本が負担することになる。両国は支援する準備ができていて、そうしないといけないことも知っている。アメリカはこれまで多大な費用を支払ってきたのだから、我々はこの費用は負担しない。韓国と日本は北朝鮮の隣国なのだから、両国が費用を負担すべきだ」と回答した。

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