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米朝会談後、北朝鮮が日本を相手にせず…「拉致問題は解決済み」との主張拡散

文=長井雄一朗/ライター

 これについて、高氏は「北朝鮮が非核化を宣言したからといって、それだけでは実現できません。当然、費用はかかるわけで、それについては非核化に同意した周辺国が面倒を見るのは極めて自然です」と解説する。

 安倍晋三首相も「核の脅威がなくなることによって、平和の恩恵を被る日本が費用を負担するのは当然だ」と述べ、核廃棄のための国際的な枠組みを創設し、それを通じた資金拠出を想定していることを明かしているが、同時に拉致問題の解決がなければ経済支援に応じない姿勢も示している。

 今後、北朝鮮情勢はどう動くのか。「こればかりはわかりません」と高氏も言葉を濁すが、日本にとって最大の関心事は拉致問題の解決だ。金委員長はトランプ大統領に「安倍首相と会ってもいい」と言ったと伝えられているが、高氏は「それはあくまで伝聞ですから、今のところはなんともいえません」と語る。

北朝鮮は日朝首脳会談をやらなくてもいい理由

 続いて、日朝首脳会談の可能性について語るのは韓国人ビジネスパーソンだ。

「そもそも、日本人が『拉致問題の解決という議題だけで、金委員長が安倍首相との日朝首脳会談に応じる』と考えているのであれば、それは甘すぎです。日本のニュースを見ると、違和感を抱きます。北朝鮮からすれば、急いで日朝首脳会談に応じる必要はありません。

 その理由は、北朝鮮は今や、アメリカ、中国、ロシア、韓国などをはじめとする諸外国から、実質的に国際社会の一員として認められたからです。日本はトランプ大統領を通じて拉致問題などの懸案を解決したいとの意向を示していますが、なぜ文大統領を仲介役としないのか、理解に苦しみます。

 また、日本の歴史に対する姿勢も疑問です。日本は朝鮮半島に対して植民地支配を行った過去があります。その歴史としっかりと向き合う姿勢を、韓国だけでなく北朝鮮にも示す必要があります。さらには、補償も必要でしょう。それもなしに、拉致問題の解決を訴えるだけで金委員長に首脳会談を呼びかけたところで、実現は困難です。今の安倍首相がその決断を下すのは、相当な勇気を振り絞る必要があることも理解しています。しかし、北朝鮮問題は強気や圧力だけでは解決しませんよ」

 さらに、日本に対して辛辣な言葉が続く。

「拉致問題の視点から見れば日本は被害者ですが、朝鮮半島での植民地支配の歴史という視点から見れば、日本は加害者なのです。日本がかつて朝鮮半島、中国、東南アジアなどに侵略を行った歴史に真摯に向き合うことで、文大統領は必ずや安倍首相の力になります。少なくとも、歴史認識について真摯に向き合うことがなければ、拉致問題が未解決になるだけではなく、日本の北東アジアでの地位は下落します。私は、それを心配しています」

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