2018FIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会で世界中が盛り上がっている。こうした大きなイベントについて回るのが、チケット転売を生業とする、いわゆる「ダフ屋」と呼ばれる業者の存在だ。
実際に今大会でも、「観戦チケットがインターネット上の転売サイトで40倍近い価格で販売されているとして、英消費者団体が非公式サイトから購入しないようファンに注意を呼び掛けている」という(4月17日付英国PA通信報道より)。
かつて日本では、ダフ屋はイベント会場の周辺にいて、観客との間で直接チケットの買い取りを行ったり、高値で売ったりしていた。その多くは反社会的勢力の関係者であり、ダフ屋行為自体がかれらのシノギ(稼業)だった。従って、決して素人は手を出さなかったし、出せなかった。
だが、市井に堂々と「金券ショップ」が誕生すると、そこでもチケットが取り扱われるようになった。客からチケットを安く買い、売りに出したのだ。それでも、「現在問題になっているような高値販売ではなく、ある程度は限度をわきまえた価格での販売だった」(警察関係者)という。
ところが、インターネットの普及とともに、ネットを使った転売を商売にする業者が現れた。いうなれば“ネットダフ屋”だ。その代表例が、IT大手のミクシィ傘下のフンザが運営する「チケットキャンプ」(チケキャン)だった。だが、チケキャンは高額転売などさまざまな問題を起こし、閉鎖に追い込まれた。
今年1月11日、京都府警は安室奈美恵のコンサート入場券を転売目的で不正入手したとして、フンザ元社長と大阪市の転売業者3人を詐欺の疑いで書類送検した。ネットを通じたチケットの高額転売で、サイトが摘発されたのは全国で初めてだった。
さらに6月22日、兵庫県警はフンザ元社長ら3人がジャニーズ事務所の商標権を侵害したとして商標法違反容疑で書類送検した。これは、ジャニーズ事務所の許可なしに、所属アイドルのコンサート日程や場所をまとめたサイト「ジャニーズ通信」を運営し、このサイトを使ってファンをチケキャンに誘導した疑いが持たれている。