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林裕之&林葉子「少油生活のススメ」

ケンタッキーのチキン食べ放題、トランス脂肪酸多量摂取の恐れ…米国で使用禁止の油を使用

文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家

 ケンタッキーフライドチキン(KFC)は夏休みの目玉企画として、7月20日から「『オリジナルチキン』食べ放題!」を実施します。

期間:7月20日(金)~8月31日(金)の毎週金曜日
時間:16時以降のディナータイム
制限時間:45分間(予約制)
料金:中学生以上 1380円(税込み)、小学生 980円(税込み)
*実施するのは全国1147店のうち218店

 家族連れや若者たちで賑わいそうですが、筆者はこの企画には懸念を抱いています。オリジナルチキンやポテトフライの揚げ油の安全性に問題があるからです。ケンタッキーフライドチキンの揚げ油には、トランス脂肪酸が多いショートニングが使用されています。

ケンタッキーのチキン食べ放題、トランス脂肪酸多量摂取の恐れ…米国で使用禁止の油を使用の画像1*写真は商品に含まれる脂肪酸量を可視化したもので、トランス脂肪酸の量ではありません。

 筆者は主だった食品メーカーやファストフードチェーンに使用油について問い合わせをした際、ケンタッキーフライドチキンからは、以下の回答がありました。

「フライドチキンやポテトの揚げ油は100%植物油のショートニングを使用しており、現在はパーム油・コーン油・大豆油を配合しております。トランス脂肪酸はあります」

 油(脂肪酸)についての知識が少しでもあれば、この回答を見ただけでケンタッキーフライドチキンは“NG食”です。特に問題なのは“トランス脂肪酸あり”の部分です。

 トランス脂肪酸は心臓疾患のリスクを高めるとされ、アメリカではその原因となる油(マーガリン、ショートニング、ファストスプレッドなど)の使用規制が今年6月から実施されています。この規制により、アメリカ国民のトランス脂肪酸の摂取量が激減し、「致命的な心臓病を年間で数千件減らせる」としています。

 日本でも、農林水産省など国の機関がトランス脂肪酸の危険性を認めています。

「トランス脂肪酸については、食品からとる必要がないと考えられており、むしろ、とりすぎた場合の健康への悪影響が注目されています。(略)日常的にトランス脂肪酸を多くとりすぎている場合には、少ない場合と比較して心臓病のリスクが高まることが示されています」(農林水産省「すぐにわかるトランス脂肪酸」より)

 ところが、こうしてトランス脂肪酸の危険性を認めているにもかかわらず、日本ではまったく規制していません。一日平均摂取量が、アメリカ人の5.6gに比べ、日本人は0.7gと少ないからという理由ですが、日本と同じように平均摂取量が少ないとされる中国や韓国ではトランス脂肪酸量の表示義務が制定されています。トランス脂肪酸量が把握できれば、自己防衛が可能です。

林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家

林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家

●林 裕之 1956年 東京生まれ(植物油研究家)/林 葉子 1954年 東京生まれ(知食料理研究家)

娘のアトピー再発をきっかけに植物油の害を知る。あまり知られていない植物油の正しい情報を知ってもらうべく、「油を変えて美味しく体質改善」をテーマに、レシピ本や料理教室、ブログなどの活動を夫婦で展開中。著書に『「DE-OIL」でキレイになる』(MIDI)、『体に良い油で作る絶品料理 (1)からだがよろこぶ!賢脳・健康レシピ』『体に良い油で作る絶品料理 (2)あたまがよろこぶ!賢脳・健康レシピ』(ともにダイナミックセラーズ出版)『その病気、その疲労、「隠れ油」が原因です!』(三笠書房)などがある。。

ブログ:「『DE-OIL』でキレイになる」…オメガ3系の油“アマニ油、えごま油” で体質改善。体と頭に効く油別の料理ブログ。

Twitter:@ag_tora

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