5月21日付当サイト記事『薬4剤併用で命の危険 異常な薬漬けの日本人、副作用死は年10万人以上?』において、多剤併用の弊害について書かせていただきましたが、日本において最も無意味であり多剤併用されているのは、風邪薬ではないでしょうか。
今でも10剤処方が当たり前になっている高齢者が風邪の症状を訴えれば、そこにさらに5~6種類の風邪薬が追加されます。さらに薬の数が増えることになれば、そのリスクは計り知れません。
多くの人は「薬の需要」は「病気になった人の数」で決まると思っていらっしゃるでしょうが、実態は違います。薬の需要は、製薬業界と医師たちの学会によって作られているのです。
彼らが最も得意とするのは、勝手にストライクゾーンを拡大して、健常者に病人のレッテルを貼ることです。もし野球の世界で、ある日突然、肩の高さから足首までがストライクゾーンだと決められたら、バッターたちの暴動に発展しかねません。
しかし、医療の世界では、患者側に確かな知識がないのをいいことに、製薬会社と表裏一体の関係にある学会が提唱すれば、それがまかり通ってしまいます。
薬を選別する際は、まず自分が本物の病人か、ストライクゾーンを勝手に広げられて病人にされた健常者なのかを知る必要があります。それを考えることは、医療側のペースで薬漬けにされている現状を見直し「一病息災」を実現するきっかけになるのではないでしょうか。
それを実現する上で不可欠なのが、自分の免疫力で治せる軽い病気は、薬に頼らないで治そうという姿勢です。「風邪は寝ていれば治る」と言われても、それを実体験したことのない人は、きっと不安が募るでしょう。しかし、一度やってみれば「なんだ。こんなに簡単だったのか」と思うはずです。ぜひ、トライしてみてください。
風邪は寝ていれば治る
日本で、多剤処方が当たり前になってしまった背景には、国民皆保険制度、それに伴う子どもの医療費の無料化が挙げられます。ワクチン接種や、健康診断なども自治体の補助で手軽に受けることができます。
こうなると、「検診は受けておこう」「病院に行かないと損」「薬をたくさんもらったほうが得」と考える患者側のマインドも大きな要因になってきます。そのような患者が多いと医者もサービスしておこうと考え、「なれ合い処方」になってしまいます。
欧米では風邪は寝ていれば治るものと考えられており、すでに風邪薬は保険適用から外されています。日本では子どもが風邪をひいて39度の熱を出したら、迷わず病院に行って解熱剤をもらうという母親が多数だと思います。かくいう筆者自身も20年前は、そんな母親のひとりでした。海外においては、発熱とは自己の免疫力を高めて体内のウイルスを退治するための作用であるから、下手に解熱しないほうがいいという考え方が主流です。